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 今日(1月11日)は、本連載『サムライ経営者、アメリカを行く!』を書籍として編み直した、僕の最新刊『クレイジーで行こう! グーグルとスタンフォードが認めた男、「水道管」に挑む』(日経BP社)が全国の書店に並び始める日だ(臨時にこの記事を今日アップロードすることを、日経ビジネスオンラインの編集部にお願いしておいた)。

 今日はそんな喜ばしい日ではあるのだが、一点だけ、読者の皆さんに残念なお知らせがある。僕は執筆家ではなく、あくまで一人の経営者だ。経営では、それがどんなことであろうと、悪いニュースがあれば、従業員、関係者に真っ先に伝えなければならないというのが、僕のモットーだ。これまで約3年間にわたって執筆してきたこの(人気)連載は、残念ながら今回の記事が最後になる。日経ビジネスオンラインが休刊し、この1月中旬に「日経ビジネス電子版」にフルリニューアルするためだ。

 残念ではあるのだが、僕はこの状況に関して、2つの解決策(メンローパーク・コーヒー [渋谷店] のオープンと、Forbes JAPANオンラインでのオフィシャル・コラムニストとしての新連載)を準備したので、是非安心して欲しい(詳しくは後述)。さあ、ここからは、いつも通り、フラクタの話を始めよう。

「ヒト」と「文化」に責任を持つ人材を

 12月中旬になると、僕はフラクタの「ヒト」や「文化」にまつわる一切のことに責任を持つ人材(つまり、一般的には人事の責任者ということになるだろう)の採用に向けて、何人もの候補者たちと面接をすることになった。

 フラクタの人事といえば、ジョンさんがずっとパートタイムで助けてくれてきたのは、読者の皆さんもご存知の通りだ。しかし、フラクタも正社員が25人、アドバイザーやら何やらを含めると、実に30人以上の人たちが集まる所帯になってきたので、さすがにフルタイムの人事責任者が、いつも会社にいて欲しいと思うようになってきたのだ。

 また僕には、この半年くらいぼんやりと考えてきた一つの懸案事項があった。僕の基本的な哲学、僕が3年半にわたって、考え、フラクタで毎日実行してきたことを、きちんとした形で、会社の隅々まで行き渡らせたいと思うようになったのだ。

 スタッフと話をすると言っても、僕も出張に出ていることが多いため、十分な時間が取れないことも多くなってきた。3人、5人で会社を運営していた頃は、別に意識なんてしなくても、皆、僕の人となりが分かっていたし、僕と話をしているだけで、なるほどフラクタはこういうことをやっても良い会社なんだな、こういうことを大切にする会社なんだなと、全てのメンバーが、肌で分かってくれていたと思う。ラースさんも、吉川君も、皆そうした下地のようなものの上に乗っかって、大いに暴れてくれていたと思うのだ。僕がしばらく出張に出ていたとしても、オフィスに戻ってくれば、また一緒にコーヒーを飲み、自然と話をする機会がある。一人ひとりの仲間たちに、そんな距離の近さがあった。