原電は「問題児沸騰水オペレーション会社」

5月11日、東京電力の広瀬直己社長(左)は再建計画を発表した

受け皿としてなぜ原電がいいのでしょうか。

橘川:原電は今、「原発なき原電」になっています。3つある原発のうち、敦賀1号は廃炉、2号も活断層で問題になって再稼働が厳しい。東海村はさほど原発を必要としていないので、柏崎刈羽より動かすのが難しいでしょう。最終的に頼みの綱だったベトナムへの原発輸出も望みがなくなりました。

 こうした事情から、原電が生きる道は柏崎刈羽のオペレーションになります。私は原電を「問題児沸騰水オペレーション会社」と呼んでいます。

 準国営の柏崎刈羽が、中立的な値段で卸市場に電気を卸し、新電力も活用できるようにする。まだ卸市場が電力市場全体の約3%しかありませんが、シェアが高まれば電力自由化にも寄与します。

閉塞感のある電力の小売り市場が活性化するかもしれません。

橘川:浜岡原発と大間原発まで動いて卸売市場に流したら、シェアは高まるでしょう。ターゲットは8%です。米国の電力卸市場関係者は、最低8%は卸市場がないと自由化は成り立たないと話していました。「日本には卸市場がほとんどないのに、自由化がうまくいくわけがない」と。

 原発由来の電気が増えることは、地球温暖化対策にも貢献します。東京湾岸で多くの石炭火力の建設計画がありますが、これらが立ち上がると、温暖化対策に急ブレーキがかかってしまいます。

 東京電力と共同出資でJERAを設立した中部電力の経営陣は、こんな展開を読み切っていたのではないでしょうか。浜岡では地震対策をやって再稼働させることを追求し、最終的には株主に国を訴えさせる、そんな狙いがあるように見えます。そうでないと、会社が株主から訴えられます。

 防潮堤を作り規制基準をクリアしたのに、超法規的措置で原発が動かない。ということで、柏崎刈羽と一緒に浜岡を国に買ってもらい、準国営の運営に任せる。

 中電はJERAを使って東電の火力が手に入る。東電が資産売却をしなければ、福島リスクが完全に消えることはありません。大阪ガスは中部電力と組んでいたのにJERAに乗りませんでした。
 東電の組合はこのシナリオがいいでしょう。経営は安定するし、職場も変わりません。東北電力の原子力部隊には、抵抗があるかもしれませんけれど。