「福島問題」とはまず、気持ちの問題である

 事故から6年で相互不信は解きほぐしようがないほど複雑に広がってしまったが、少なくともこれ以上の連鎖は防がなければならないはずだ。しかし、「事故処理費用は22兆円」という杜撰な試算を基に東電改革を進め、後から処理費用がまた膨れ上がるような事態になれば、不信感はさらに増幅してしまうのは間違いない。

 「福島問題」とはまず、気持ちの問題である。気持ちの問題を解消できないことが仇となり、廃炉の技術的課題も、福島沿岸部をどのような地域に変えていくかという地域的・政治的課題も、解決策を本格的に議論することすらできていない。東電や国はまず、正確な情報を自ら明らかにして不信感を和らげていくことが必要なはずだ。

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