オペレーションとマネージメント手法を外販

 「これからは稼げる発電所を目指さないといけない」。

 東電FPの佐野敏弘社長は各発電所のトップにこう呼びかけている。これを受け、常陸那珂火力の風見倫良所長は更なる検査期間の短縮に向け現場を鼓舞した。たとえば2016年の1号機検査。当初目標は50日だったが、風見所長は「もっと短縮できるはずだ」と発破をかけ、実際に40日台で作業を終えることに成功している。「トヨタ式を学びつくして『FP式カイゼン』を確立したい」と風見所長は意気込む。

常陸那珂火力発電所の風見倫良所長
常陸那珂火力発電所の風見倫良所長

 「FP式カイゼン」が象徴するメンテナンス作業の効率化に、冒頭で触れたダイセル式の運営効率化や火力発電のIoT化などを組み合わせれば、競争力の高い火力発電所が生まれる。東電はこれを標準化し、O&M(オペレーションアンドメンテナンス)ビジネスとして国内外の同業他社に売り込もうと目論む。

 「国内の発電需要は低下していくが、新しい事業を手がけて成長を続けていく」(佐野社長)。実際、競合他社の注目度合いは高く、東電や関係会社にはいくつも問い合わせの声が届いているようだ。

 東電の現場は改革や改善に向けた動きを早めていると言える。トヨタ出身の内川氏が永徳氏に「まだ1.5合目」と語ったように、その余地もまだまだありそうだ。順調に行けば同社はより強い存在になる。

 福島原発事故の責任を負う同社が強くなることに、疑問の声があるのは確かだ。とはいえ現場としては手をこまぬいてはいられない。どんな結果が待っているにせよ、走り続けることが現状の東電には課せられている。

■変更履歴
記事掲載当初、本文中で「徳永氏」としていましたが、「永徳氏」に修正します。本文は修正済みです [2017/04/28 12:15]