ヤング氏は言う。「例えば面接で1時間話をしたとしても、ほとんどの判断は最初の10秒ですでに終わっています。残りの時間はその判断を補強するために費やしているにすぎません」

 「実際、面接試験の結果と現実の仕事のパフォーマンスとの相関関係は非常に低い。相関関係が全くないのを0とし、1に近いほど強い相関関係があるとすると、面接試験は0.1から0.3程度でしかありません。IQテストの相関度が0.4程度なので、面接よりもIQの方が予測に適していることになります。我々はどうしても偏見を持って判断してしまう。そのために、伝統的な面接ではいい結果が出ないのです」

SeedlinkのCEO、ロビン・ヤング氏
SeedlinkのCEO、ロビン・ヤング氏

 シードリンクのシステムはすでにいくつかのグローバル企業が採用している。コカ・コーラのほか、PwCなど世界の4大会計事務所のうち3社がシードリンクのシステムを使って採用活動をしているという。中国国内ではネット企業や金融機関などが使っている。

 中でも冒頭でも紹介したロレアルは、シードリンクにとって早くからの顧客だ。設立した翌年の2014年に、システムのアルゴリズムをエクセル表にしたものを2万5000元(約40万円)で販売したのが始まりだ。

 その後、ロレアルとの取引は年々増えている。15年は10数万元(200万円前後)16年は約30万元(約470万円)。17年は、10カ国のオフィスの採用活動に協力し、200万元(約3000万円)以上の取引になる予定。18年は30カ国以上で使うことで商談が進んでいる。

中国企業だから不安という顧客も

 中国という巨大市場を攻めながら、グローバルでも着々と成果を上げているシードリンクは成功への軌道に乗りつつある。同社にはアリババ集団に投資している投資家も資金を投じているという。同社のようなスタートアップ企業にとっては、中国の変化の速さもプラスに働く。

 一方でヤング氏は「今年中にオランダにも拠点を作る予定」と話す。「中国企業ということで、欧米の企業から情報漏洩などを心配する声が上がっている」ためだ。

 また、現時点でシードリンクに競合はほぼないものの、中国国内の市場は過当競争が当たり前だ。将来性が見込まれる商品やサービスには、類似のものが次々に登場する。現在、中国国内で広がっているシェア自転車でも、激しい競争が繰り広げられている。

 このような環境下で、中国発イノベーションがどれだけ生まれ、その中のいくつが世界企業へと成長していけるのか。その成否が今後の中国経済の先行きを決める。