この記事は、「日経ビジネス」Digital版で4月19日からスタートする新コンテンツ「日経ビジネスベーシック」からの転載です。詳しくは こちら

4月18日号特集「MBAでは学べない 永守式リアル経営学」

 特集タイトルで「経営学」と銘打っていますが、実は、「あまり経営学を意識しなくても、最先端の経営理論は学べるのです」というメッセージを込めた特集です。では、何を題材にして学べばいいのか。成功している経営者が語る戦略論や経験則にこそ、そのエッセンスが詰まっている、というのが答えです。

(写真:Getty Images デザイン:藤田 美夏)

 ですから、学問を取り上げた企画だと思って身構えることなく、むしろ学問のイメージとは縁遠い「井戸掘り」「千切り」「チャラ男」といった目に付くキーワードを拾いながら、登場する各社のユニークな事例を読み進めてみてください。経営学との接点を考えるのは、それらに目を通した後でも遅くはありません。

「永守3大経営手法というのがあるんですよ」

永守重信氏(左)入山章栄氏(右)(写真:山田 哲也)

 まず、事例を語るトップバッターとして登場するのが、特集Part1の特別対談に登場する日本電産の永守重信会長兼社長です。この対談には、魅力的なキーワード、コメントがちりばめられています。

 「僕には、永守3大経営手法というのがあるんですよ(笑)。1番が井戸掘り経営、2番が家計簿経営。そして3番が千切り経営ですわ」。このあたりからエンジンが全開になり、実際の経営でも応用できそうな永守会長兼社長の考え方が披露されます。

 「叱り8割、褒め2割。僕は震えるほど叱る」
 「業績の悪い会社を買収して再建に行くと、初めに言います。1年間だけだまされてくれませんか」
 「企業買収は、全体を100とすると買収時点ではまだ20なんです」
 「会社を島に例えると、3つくらい島を買う。陸続きにして、ある時、真ん中の水をぱっと落とすと、全部自分の土地になる」

 こうした独特の経営哲学、方針に対して、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄准教授が、経営学者の立場からコメントをつけていきます。そこで初めて、経営学との接点を感じてもらえればいいのではないでしょうか。

興味を持ったら「経営学の視点」を

 「やはり、経営学と言われると頭に入ってこないし、苦手意識がある」という方は、専門用語が頻出するPart2「最新経営学に学ぶ」はスキップして、Part3「企業経営、4つの新常識」へどうぞ。

 サイボウズ、日立製作所、パナソニック、ニフティ、アシックスといった企業のケーススタディが並んでいます。ところどころに出てくる経営学用語を意識しなくても、経営改革のヒントにできる内容です。

 もし、経営学に興味が湧いてきたら、この用語と、その近くの囲み記事にある「経営学の視点」を参照して、その関連性などについて確認してみてください。

教科書に書いてあることは過去のこと

 こうしたケーススタディを読んで分かることは、経営学の教科書通りにやっている企業ばかりが成功しているわけではないことです。むしろ、「教科書に書いてあることは、過去のこと」と割り切りも必要です。

 ユニークな経営手法で高成長を実現している企業の多くは、経営学を意識しないまま、成果を上げ続けています。むしろ、実は、企業の中で起こっている様々なイノベーションを、経営学がどんどん取り込みながら追いかけているのが、実際のところなのかもしれません。

 経営学と言えば、まずMBA(経営学修士)を思い浮かべるビジネスパーソンは多いはず。しかし現実には、経営学と実際の経営は切磋琢磨しながら、お互いを高め合っています。むしろ、ビジネスパーソンには、企業事例の方が実感を持って読みやすいと思いますので、まず、ケーススタディから入ってください。