この記事は、「日経ビジネス」Digital版で4月19日からスタートする新コンテンツ「日経ビジネスベーシック」からの転載です。詳しくは こちら
・いろいろなモノに通信機能
・自動化や効率化、単品対応に効果
・ドイツの製造業改革が発祥

 直訳すれば「モノのインターネット」。つまり、いろいろな物に通信機能が付いて、相互にデータをやり取りするようなインターネットを指します。人間同士がメールで文章やデータをやり取りするように、人間とモノ、モノとモノの間で通信する環境を整えるわけです。

機械やセンサー、部品が連動

 IoTという用語が使われる場合、最も多く事例として示されるのが工場などの生産現場です。加工をする機械や、気温や湿度を測定するセンサー、部品そのものなど、いろいろなものが相互に通信をしているような環境を想像してみてください。自動化やスピードアップ、効率化のアイデアが出てくるのではないでしょうか。

 例えば、ある鉄板に「Aという金型でプレスした後に、赤く塗装する」という指示データをつけて工場のラインに流したとしましょう。それを読み取ったコンピューターが、プレス機に金型Aのセットとプレスを指示して、塗装工程へ送り込み、赤い塗装を施すと作業を自動でこなすという具合です。ロボットなどがたくさん導入されて、自動化が進んだ工場が対象になります。

 この範囲を工場の外にも広げて、部品発注や配送トラックの配車、在庫管理、営業・販売などまでIoTの対象にしたらどうなるでしょう。メーカー業務の様々な現場がインターネットで結びつき、一気通貫で管理できるようになります。

 このように新しいICT(情報通信技術)を多用した“賢い”システムのことを最近「スマート」と表現します。IoTも「スマートな工場を実現するためのツール」として紹介されることが多いようです。

インダストリー4.0の基幹技術

 IoTを利用した「もの作り改革」のことを「インダストリー4.0」、日本語にして「第4次産業革命」と呼びます。

 ドイツが国を挙げて製造業の競争力を高めるために2010年に掲げた政策の中にあり、インダストリー4.0という名称は2011年から使われています。当時、ドイツにはすでに自動化が進んだスマートな工場があったのですが、インターネットなどの規格をさらに標準化して、つながる対象を広げていけば、飛躍的に生産性が高まると考えました。

 明確な節目はありませんが、日本には、その2年ほど後の2013~14年ごろから、製造業を中心に概念が広がり始めました。すでに日本は「カイゼン活動」などで世界でも屈指の高効率な生産現場を実現しているのは知られているところです。ただし、受注生産や一品生産といった分野で、今後もIoTの導入余地は大きいと見られています。

賞味期限切れを警告する

 また、「モノのインターネット」という定義に立ち返れば、対象は製造業だけではありません。これまでネットワークとはあまり縁がなかった白物家電でも対象機器が登場し始めました。

 食品の賞味期限を判断して警告を出す冷蔵庫などは実現しています。この他、自動車の自動運転や衝突防止、身につける健康器具と情報端末との連携などでも研究や開発が進んでいます。

 スマホやタブレットといった身近な情報機器との組み合わせを考えれば、新しい商品や事業のアイデアは無限に広がるのではないでしょうか。