徴税の「世代間不公平」を生じさせないための増税

 現在、日本の政府は、大幅な財政赤字になっています。つまり、歳出(行政サービスに必要な費用)の方が税金などの収入よりもはるかに大きいので、差額を借金(国債の発行)で賄っているわけです。

 2016年度の予算を見ると、歳出が約97兆円、税収等が約62兆円となっており、差額の約34兆円が国債発行で賄われることになっています。日本人の成人はおよそ1億人いますから、1人当たりにすると、歳出が約97万円、税収等が約62万円、借金が約34万円、ということになります。

 毎年、新しい借金が積み上がってきたため、政府の借金の残高は1000兆円を超えています。日本人の個人金融資産は1700兆円ありますが、今や「日本人が銀行などに預けたお金の半分以上が、日本政府に貸し出されている」ということになっているわけです。

 このまま政府の借金が膨らんでいくと、「日本政府は借金が多すぎて破産する」という噂が流れて、株価が暴落するなどの問題が生じかねません。また、将来、政府が借金を返すために増税をするとすれば、「今の大人たちが作った借金を将来の大人たちが返す」という「世代間不公平」が生じます。そうならないために、なるべく早い時期に増税をする必要があると考えられているわけです。

働く現役世代ばかりに負担を押しつけない

 ではなぜ、増税の対象として消費税が取りざたされているのでしょうか。

 その理由としては、所得税が働く現役世代への課税であり、消費税が全員への課税だ、というところがポイントです。少子高齢化により、現役世代の人数が減っていくので、そこにすべての負担を押し付けるのは酷です。そうではなく、これからは貯蓄のある引退世代を含めた全員で負担していく必要がある、という考え方を土台にしているのが、現在の消費増税議論なのです。