夢はリーダーシップよろず相談所の開設

 最後に、これから自分が向かう方向についてお話ししましょう。

 私は6月でP&Gを退社します。おかげさまでいくつかの企業から声をかけていただいています。有り難いことです。今のところ、全く白紙の状態。ゆっくり考えていくつもりです。

 私は31年間、P&Gで働き、日本の消費者が豊かな日常生活を送る上で多少なりともお役に立ってきたという自負があります。

 一方で、日本人としてまだまだ日本社会に貢献できることが残っているのではないかという気持ちもあります。日本の組織、日本企業、日本社会に対して、何か従来とは違う形で貢献していきたいというのが今のボンヤリとした思いです。

 私が大切にしている言葉があります。「一隅を照らす、これすなわち国宝なり」という、千数百年前に天台宗を開いた最澄が残した言葉です。

 「自分が置かれた場所や立場で精一杯努力し、自らが輝けば、やがてその周囲も明るくなり、町や社会も輝く。ひいては日本や世界も明るく輝かせることになる」といった意味です。

 初めてこの言葉を聞いたのは私が25歳で初めて課長になった時。取引先の会社の社長さんから教えていただきました。「良い言葉だな」ととても強く印象に残り、以来、私自身の心得にしてきました。P&Gに勤めている間、社員として、またリーダーとして、一隅を照らす存在を目指して過ごしてきたつもりです。

 P&Gを卒業後は、日本の組織、日本人のリーダーに対して、自分の持っているものを分かち会うことで一隅を照らしたい。今はそんなことを考えています。

 1つ小さな夢があります。自宅のある兵庫県の芦屋近くに小さなオフィスを構え、「リーダーシップよろず相談所」の機能をもたせるというものです。1~2人程度の少人数を相手に、リーダーシップにかかわる色々な問題を語り合ってみたい。

 何かを感じ取ってもらえたら嬉しいし、私自身も刺激を受けたいという思いがあります。多くの人から話を聞き、吸収して、まだまだ器をデカくしたいですね。

 人間、何歳になっても成長を止めてしまってはダメだと思います。昨日よりも今日、今日よりも明日、少しずつでもいいから成長していきたい。仕事の中身は変わっても、学ぶことはあるはずです。また新たな成長の場を求めていくつもりです。

(構成・小林佳代)