P&Gのプレジデント兼アドバイザーの桐山一憲です。2015年11月に、P&Gアジア統括責任者から現職に変わり、CEO(最高経営責任者)直轄でアジアの人材育成に取り組んできました。

 この連載では、P&Gというグローバル企業で30年以上にわたって過ごした経験を基に、「リーダーシップ」について自分が考えていることをお伝えしていきます。

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 グローバルに活躍するリーダーが取るべきビヘイビアーをまとめた「グローバルリーダーのABC」、前回は「C」のCommitment(コミットメント)について説明しました。今回は「B」をお話ししていきます。

「グローバルリーダーのABC」

A ── Attitude (姿勢)

B ── Belief (信条)

C ── Commitment(コミットメント)

 「B」は「Belief」の頭文字から取っています。グローバルリーダーは自分の信条を持ってください。

 信条といっても難しいものではありません。組織を活性化するため、ビジネスを成功させるため、個人が成長するために必要と思うことをまとめればいいのです。

 幾つの信条にまとめるかは人それぞれ。3つだけの人もいれば、5つという人も10個という人もいるでしょう。それでいいのです。内容も立場によっても経験によっても異なるはずです。

 「自分が思っていること」ですから、人と違うユニークなもので構いません。まずはそういう信条を「書いてごらん」と言っています。

 紙に書くというのは非常に大事なプロセスです。これによって自分自身に宣言した形になるし、忘れないように常に見返すことができるようになります。「これよりあれの方が大事だ」「こういう表現の方がわかりやすい」などと、ブラッシュアップすることも容易です。

<b>桐山 一憲(きりやま・はつのり)氏</b><br/>ザ・プロクター・アンド・ギャンブル・カンパニー 米国本社 プレジデント兼アドバイザー<br/>1962年11月生まれ。85年、同志社大学商学部卒業後、P&G(日本法人)入社。90年、支店長ナショナルチェーン統括。92年、東京支店長。カナダ勤務や韓国勤務を経て、2002年、ノースイースト・アジア(日本・韓国)営業統括本部長。2005年、ジェネラルマネージャー グローバルスキンケア(勤務地:米国)。2006年、ヴァイスプレジデント グローバルスキンケア(勤務地:シンガポール)、2007年、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン 代表取締役社長。2012年、米国本社 シニアエグゼクティブオフィサー 兼 プレジデント-アジアパシフィック。2015年11月より現職  (写真=陶山 勉、以下同)
桐山 一憲(きりやま・はつのり)氏
ザ・プロクター・アンド・ギャンブル・カンパニー 米国本社 プレジデント兼アドバイザー
1962年11月生まれ。85年、同志社大学商学部卒業後、P&G(日本法人)入社。90年、支店長ナショナルチェーン統括。92年、東京支店長。カナダ勤務や韓国勤務を経て、2002年、ノースイースト・アジア(日本・韓国)営業統括本部長。2005年、ジェネラルマネージャー グローバルスキンケア(勤務地:米国)。2006年、ヴァイスプレジデント グローバルスキンケア(勤務地:シンガポール)、2007年、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン 代表取締役社長。2012年、米国本社 シニアエグゼクティブオフィサー 兼 プレジデント-アジアパシフィック。2015年11月より現職  (写真=陶山 勉、以下同)

 書き留めた信条は従業員にシェアします。「自分はこういう考え方を持っている」「こう信じて仕事をしている」ということをチーム内に明らかにするのです。従業員にシェアすれば自らの行動指針にもなり、自身を律することにもつながります。

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