P&Gのプレジデント兼アドバイザーの桐山一憲です。2015年11月に、P&Gアジア統括責任者から現職に変わり、CEO(最高経営責任者)直轄でアジアの人材育成に取り組んできました。

 私は新卒でP&Gジャパンに入社し、以来、30年以上にわたって、このグローバル企業でキャリアを積み重ねてきました。多くのリーダーに仕えてきましたし、私自身も日本人初の日本法人社長、アジア人初のアジア統括責任者に就くなど、リーダーとして人と組織を率いてきました。

 最近、様々な場で「グローバルに活躍できるリーダーになるにはどうしたらいいですか」という質問を受けます。日本企業のグローバル化が進む中、グローバルリーダーへの関心が急速に高まっていることをひしひしと感じます。P&Gというグローバル企業で過ごした私の経験を基に、考えていることをお伝えしていきたいと思います。

<b>桐山 一憲(きりやま・はつのり)氏</b><br/>ザ・プロクター・アンド・ギャンブル・カンパニー 米国本社 プレジデント兼アドバイザー<br/>1962年11月生まれ。85年、同志社大学商学部卒業後、P&G(日本法人)入社。90年、支店長ナショナルチェーン統括。92年、東京支店長。カナダ勤務や韓国勤務を経て、2002年、ノースイースト・アジア(日本・韓国)営業統括本部長。2005年、ジェネラルマネージャー グローバルスキンケア(勤務地:米国)。2006年、ヴァイスプレジデント グローバルスキンケア(勤務地:シンガポール)、2007年、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン 代表取締役社長。2012年、米国本社 シニアエグゼクティブオフィサー 兼 プレジデント-アジアパシフィック。2015年11月より現職  (写真=陶山 勉、以下同)
桐山 一憲(きりやま・はつのり)氏
ザ・プロクター・アンド・ギャンブル・カンパニー 米国本社 プレジデント兼アドバイザー
1962年11月生まれ。85年、同志社大学商学部卒業後、P&G(日本法人)入社。90年、支店長ナショナルチェーン統括。92年、東京支店長。カナダ勤務や韓国勤務を経て、2002年、ノースイースト・アジア(日本・韓国)営業統括本部長。2005年、ジェネラルマネージャー グローバルスキンケア(勤務地:米国)。2006年、ヴァイスプレジデント グローバルスキンケア(勤務地:シンガポール)、2007年、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン 代表取締役社長。2012年、米国本社 シニアエグゼクティブオフィサー 兼 プレジデント-アジアパシフィック。2015年11月より現職  (写真=陶山 勉、以下同)

 一口にグローバル人材と言いますが、海外で働く日本人ビジネスパーソンは2種類に分けられます。1つは日本企業に勤める人が海外に行くケース。もう1つは外資系企業に勤める人が日本以外の国に行くケース。両者は立場が違います。立場が「マジョリティー」か「マイノリティー」か、です。

 日本企業に勤めている場合は、本社のマジョリティーである日本人として海外に出て行くことになります。外資系企業に勤めている場合は逆にマイノリティーの立場で行くことになります。

 マイノリティーとして行く場合、言葉の壁、カルチャーの壁がある上にマイノリティーというハンディを抱えた中で頑張らなくてはなりません。ベースとなるコミュニケーションや仕事に対する姿勢などの面でも、求められるものはより大きくなるはずです。

 マジョリティーの立場で、リーダーとして赴任する場合には、ローカルの従業員に「この人について行きたい」「この人と一緒に頑張って働こう」と思ってもらえるような姿勢を取ることが重要です。

 私はP&Gジャパンで米本社からマジョリティーの立場で入れ替わり立ち替わりやって来るリーダーたちと一緒に仕事をしてきました。そういうリーダーたちの中には、「この人について行きたい」と思う人もいれば、「こんな人とは一緒に働きたくない」と思う人もいました。

 日本企業がアジアに進出した時、そこに赴任するリーダーはマジョリティーの立場です。P&Gにいた私が感じたことと、日本人のリーダーを受け入れるアジアの人たちが感じることは同じでしょう。

 私が考える、グローバルリーダーが取るべきビヘイビアのポイントは3つ。頭文字を取って「グローバルリーダーのABC」としてまとめました。1つずつ説明していきましょう。

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