入山:そういう「永守教本」みたいなものがあるんですね。
永守:あります。だから一発だね。この会社を買うか買わないか。条件に入ってなかったらアウトや。

早稲田大学ビジネススクール准教授。1972年生まれ。慶応大学・同大学院卒。2008年に米ピッツバーグ大経営大学院で博士号取得。米ニューヨーク州立大学バッファロー校助教授を経て2013年から現職。著書に『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』(日経BP社刊)など。
入山:そうですか。学術的に言うと、「暗黙知」という、人になかなか伝えられないものを、形にしてすごく分かりやすくしているわけですね。
永守:だから、行くのも速いけど、逃げるのも速い。数式にちゃんとなっているんですよ。例えば三協精機製作所(現・日本電産サンキョー)を買ったとき、株価はものすごく安かったので全部買ってもよかった。でも大赤字だから40%しか買わなかった。それで、自分で改善しながら市場から株を買っていた。どんどん自分でよくして、自分でさらに株を買った。
入山:なるほど。
永守:何で最初から買わなかったのか。もしも再建できなかったら、日本電産本体も危なくなるから、そこまでは近づかない。だから40%、45%、50%と来て最後は100%にしたわけね。
入山:大胆だけどものすごく慎重ですよね。
永守:投資はするけど投機はしない。これは大事ですね。
社内大学で永守流を浸透させる
入山:今度、社内大学を始められますよね。あれは、やっぱり永守式リアル経営学を、10万人になった会社の人たちに植え付けるということですか。
永守:そうです。システムが出来上がったから、今からそのシステムをみんなに受け継いでいくわけですよね。立派な大学のテキストもできました。A4判で英語版、中国語版も作っているね。それを全部、教えたらオーケーや。
入山:それは永守さんが直接、語られるんですか。
永守:僕も語るし、それから専門家。有名な高僧も来るし、スポーツの有名な監督もきます。
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