
シカゴ郊外にあるビームサントリーの本社オフィス。サントリーのグループ全体の蒸留酒(スピリッツ)事業を統括する拠点として、世界中の市場のトレンドや競合他社の動向をリサーチし、戦略を立案する場所だ。オフィスで取材に応じたマット・シャトックCEO(最高経営責任者)は、「サントリーとの統合から1年が経ち、統合自体もビジネスもいい結果を残すことができた」と振り返った。
伝統維持とグローバル化を両立
巨額買収に伴うガバナンスやシナジー効果の創出についての課題は特集でも詳報した通りだが、足元のビームサントリーの業績は好調。2015年12月期の売上高は前の期比23%増の6561億円、営業利益は同30%増の650億円と、グループ全体の業績をけん引する。主力の北米や日本での売り上げが好調で、コスト削減の効果も上がってきているためだ。
1795年の創業以来、200年以上にわたって米国のバーボンの中心を担ってきたビーム社。ものづくりの歴史に加えて125ヵ国で商品を販売するグローバル企業として世界中に販路を持つ。さらに、近年の米国では従来のウイスキーに果実やハチミツなどで味付けをした「フレーバードウイスキー」など新種の商品も存在感を増しており、R&D(研究開発)の重要性も高まる。ビームサントリーはこうしたR&Dなどを一段と強化することで、蒸留酒世界大手の英ディアジオや仏ペルノ・リカールに対抗しようとしている。
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