これまでの「イノベーション100委員会」の議論をふり返って

Japan Innovation Network専務理事の西口尚宏が、一連の座談会の司会進行を務めた
Japan Innovation Network専務理事の西口尚宏が、一連の座談会の司会進行を務めた

 2015年から開催してきた32名におよぶ経営者同士の座談会を通して改めて感じたのは、企業経営者のイノベーション経営に向けた強い思いだ。

 「変化を見定め、変革のビジョンを発信し、断行する」「失敗を恐れず、マーケットは自分たちで創り続ける」「イノベーションを企業文化に昇華する」と、彼らは、自社が社会に価値を提供し続けるためには、社員が失敗を恐れず自ら変革を起こし続ける組織をつくること、イノベーションを組織文化として根付かせることの必要性を強く感じていた。

 そのために、「変わらなければ、生き残れない」と、自社、そして社員一人ひとりが変革する必要性を自らの言葉で、繰り返し伝えていた。

 そして、「イノベーションの敵の“組織サイロ化”」の危険性を十分に理解した上で、着々と手を打っている。それぞれが「イノベーションを生むコラボレーション」「価値起点で事業を作る仕組み」の必要性を訴え、自前主義を脱却して組織内外の多様なリソースを組み合わせたイノベーションを興すために、様々な仕組みや仕掛けを実践していた。

 「社長が、これから行くところ=“夢”を示す」「経営者はダイナミクスを捉え、明確に方針を示す」と力強いリーダーシップを発揮する多くの経営者が日本には存在する。このような自社の変革への挑戦を続ける数多くの経営者や、現場で試行錯誤を続けているミドル、そして若者の姿を掛け合わせて考えると、日本企業にイノベーション文化が根付き、日本がイノベーション立国として世界のリーダーとなる日が来るというのは決して夢物語ではないと感じた。

 「イノベーション100委員会」の活動はこれからも続く。17年の秋以降、新たに第3期委員会に加わった経営者による議論を深め、日本企業から絶えずイノベーションが興っていくための企業経営のあり方を探り、その実践を加速していきたい。

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