左から吉村氏、阪根氏、魚谷氏、森川氏、溝口氏

 4年前にCEOに就任し、資生堂の業績を立て直した魚谷雅彦社長。そこに、セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズの阪根信一社長、エボラブルアジアの吉村英毅社長、FiNCの溝口勇児CEO、そしてLINE創業者にして現在C Channelの代表である森川亮社長という、日本のベンチャー企業を代表する面々が揃った今回の「イノベーション100委員会」(※)。イノベーションを生み出す、大企業とベンチャー企業の関係について、魚谷氏と次の日本を担う風雲児たちに自由に語り合っていただいた。

 ベンチャー企業の経営者は、社会に対して、どのような価値を生み出そうとしているのか、まずは、それぞれの経営者の思いを語ってもらった。

セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズの阪根信一氏(以下、阪根):昨今、「日本からイノベーションが興らない」という声が国内外から挙がっています。しかし、私は、そんなはずは決してないという思いが強いです。

阪根信一(さかね・しんいち)氏
セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ 代表取締役社長。1999年、アメリカ・デラウエア大学 化学・生物化学科 博士課程修了(Ph.D.)。 卒業後はI.S.T取締役、CEOを経て、2008年、スーパーレジン工業社長に就任。2010年、I.S.TのCEOを退任し、2011年、Seven Dreamers Laboratories, Inc. President & CEOに就任、2014年より現職。 これまでに、カーボンゴルフシャフト、全自動衣類折りたたみ機「ランドロイド」などを開発し、世界一イノベーティブな会社を目指している。

 そもそも日本人はすごく独創的であるし、もっとできるはずだと思っていて、日本で生まれた強烈なイノベーションで世界を席巻する、かつてのソニーのような企業を作っていきたいと私は思っています。そのためには、常にニーズありきで、人々が求め、人々の生活を豊かにするというテーマを厳選することが大切です。

 ただ、私がもうひとつ、非常にこだわっている点があります。それは、「人がやっていないことをやる」ということです。特許と論文検索を徹底的にやって、一人でも論文を出していたら「やらない」という決定をします。

 そうしたスクリーニングを行って、本当に誰もやっていないことが証明されたテーマを選んだら、あとは何が何でも困難を乗り越えてやり切る。やり切りさえすれば、世の中が求めているけれどまだ誰もやっていないビジネスなので、儲かるはずだという考え方です。

エボラブルアジアの吉村英毅氏(以下、吉村):私は20歳で会社を作り、今、35歳なので15年間、経営をやらせていただいているのですが、私自身の一番のテーマは「終わりなき成長を続けていく」ということです。多くの会社はどこかの段階で成長が鈍化します。ごく一部の会社だけが鈍化しない。そういう会社になりたいと思っています。

吉村英毅(よしむら・ひでき)氏
エボラブルアジア 代表取締役社長。東京大学3年生の時にValcom (2009年10月に旅キャピタルに吸収合併)を創業。2007年、旅キャピタル(現・エボラブルアジア)を共同創業し、代表取締役社長に就任。One Asia のビジョンをかかげ、アジアを舞台に、オンライン旅行事業、訪日旅行事業、IT オフショア開発事業と投資事業を手掛ける。 2018年5月には、DeNAトラベル(社名をエアトリに変更)を子会社化し、6月1日に同社の代表取締役社長にも就任。

 そして、事業をする上で一番重視しているのは市場の選択です。今はニッチな市場で、競争環境ではない。だけど外部環境を見越せば、この先、その市場はどんどん広がっていくことが予想される。そういう市場こそが狙い目です。潜在的なニーズがあるわけですから、そういう市場にこそイノベーションは興りやすいと思っています。

※イノベーション100委員会
企業がイノベーションを興すための方法を探るために変革の思いを持ち、行動を起こしている企業経営者がイノベーション経営について議論する場。「イノベーション経営を進める大企業経営者が100人になれば、日本は再びイノベーション国家になる」との思いを持ち、経済産業省、株式会社WiL、一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)が2015年より共同運営。