経済産業省、株式会社WiL、一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)が共同運営する「イノベーション100委員会」。ここに所属する、イノベーションを興すための変革に向けた思いを持つ企業経営者が参加した座談会から見えてきたのは、「変革を起こす経営者の姿」であり、彼らが共通でぶつかる「5つの課題」、そして課題を乗り越えるためにこだわる「5つの行動指針」だ。
 本連載では、2017年の全5回の座談会に参加した14名の経営者のイノベーションへの思いと、変革に向けた挑戦をお伝えしている。

 日本ユニシスグループは、2016年に社長に就任した平岡昭良氏の下で、2015年度から続く3カ年の中期経営計画「Innovative Challenge Plan」を遂行している。「ビジネスをつなぎ、サービスを動かす。ICTを刺激し、未来をつくり出そう」というビジョンを掲げ、顧客とともにイノベーションを起こし、「ビジネスエコシステム」を創造している。

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「チャレンジをしているか」が評価項目

行動指針4 社員が存分に試行錯誤できる環境を整備する

平岡昭良(ひらおか・あきよし)氏
日本ユニシス社長(CEO&CHO)。1980年、日本ユニシス入社。asaban.com事業部副事業部長、ビジネスアグリゲーション事業部長を経て、2002年に執行役員に就任。その後、取締役常務執行役員、CIO、ビジネスイノベーション部門長CMOなどを経て、2016年から現職。ロボット好きで、社員と一緒にロボットを作ることもある(写真:北山 宏一)

 「2011年、私がまだ社長になる前に、社内で私塾を始めました。自称若手の30人ほどを集めて、3カ月で新しいビジネスモデルや新規事業を考えるという企てです。私塾ですから現業もやってもらう。その上で、新規の試みにトライしてもらって、私がおもしろいと思ったら会社の稟議手続きは私が代行するという約束でした」(日本ユニシスの平岡社長)。

 その試みは数年の時を経て、会社の研修制度となった。いまでは、この研修以外でも自分たちで勝手にワークショップを始めて、そこに役員も入って“ワイガヤ”を行っている。「そういう場を会社で組織的に作ろうとすると、抵抗勢力が多い。だから私塾でスタートしました。そこでは、失敗をよしとする文化を醸成しました」と平岡社長は語る。

 そして、「私が社長になってからは、『成功のKPIは失敗の数である』と開き直り、『たくさん失敗すると社長になれるぞ』と言っています。やっと、皆が失敗を恐れずにチャンレンジしてくれるようになりました」(平岡社長)。

 IT会社の特性も、そこにはある。あることにチャレンジして、たとえそれが失敗したとしても、作ったプラットフォームは“生け簀”に入れておくと、どこかで生きる時がくる。「チャレンジすることによって、社会には知財だけではなくて、エコシステムを動かすためのプラットフォームの部品がどんどん溜まっていく。それをうまくリユースすれば、かつてのチャレンジは失敗ではなくなります」と平岡社長は言う。

 平岡社長はまた、社員に対して、「従来の仕事は7掛けでやってくれ」と言う。いわばシステムエンジニアであれば稼働率を下げるわけで、余裕ができた3割の時間は「チャレンジ」に使う。社員は一所懸命に定常業務以外に目を向け、アイデアを生み出す。それこそがオープンイノベーションだ。その結果、「稼働率を落としたら利益が上がった」というおもしろい現象が生まれた。