「成功体験をするしかないと思います。小さな成功体験でも人は変わります。そこで、特に経団連の加盟企業にお願いしたいのは、ベンチャー企業に人を出してほしいということです。スキルが整っている人は大企業に多くいますが、そういう人たちに、大企業の中でいきなりオープンイノベーションを推進しろと言っても無理です。そこで、一定のスキルがある優秀な人をベンチャー企業に出す。その人がベンチャー企業でたとえ大きな成功をしなかったとしても、新しいことにチャレンジするというカルチャーに触れることができる。そういう体験をした人が大企業に戻ることで、一定の触媒効果を期待できます。その効用は非常に大きいと思います」(ユーグレナの出雲社長)。

 その人間はベンチャーのことをよくわかっているわけだから、大企業に戻ってオープンイノベーションを推進する役に任命できるわけだ。「これはまだ仮説ですが、私たちが社内でもオープンイノベーションをどんどん推進していくときに、ひとつだけ科学的に比較的うまくいくなと感じているのは、物理的にでも精神的にでも、とにかく遠く離れているものを無理やりひとつにするというやり方です」(ユーグレナの出雲社長)。

最初の摩擦がイノベーションを生む

 たとえばベンチャー企業と大企業、男性と女性、「東京大学」とミドリムシを大量培養している「石垣島」、「日本」とユーグレナクッキーを子供たちに届けている「バングラデシュ」など、遠くのモノを一緒にしようとすると、最初はすごく摩擦が起こる。出雲氏は、その摩擦こそが、もしかしたらイノベーションが興る十分条件のひとつかもしれないと思っている。大企業の人間がベンチャー企業に行くというのも、そうした試みのひとつだ。だから、出雲氏は社内でチームアップする時も、栄養の専門家とガソリンの専門家をわざと同じチームにするのだ。それが人工的にイノベーションを興す有益な方法論のひとつだからだ。

「その意味では、官民交流も大事ですが、すぐにいい結果が出るのが大企業とベンチャーのコラボです」(ユーグレナの出雲社長)。

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この日の対談はスノーピークの山井太社長(右)と行われた

 比較的違うタイプの2社であるが、いずれも旺盛なベンチャースピリットを有する企業だ。他社では行わない唯一無二の製品や事業を開発し、販売している。ユーグレナは大企業のアセットをテコにして、技術起点で世界の栄養問題や燃料問題などに一石を投じている。その肝は社内外におけるオープンイノベーションであり、研究職と営業職の切磋琢磨だ。

 かたやスノーピークは、「B with C」企業を標ぼうし、たくさんのスノーピーカー(常連客)とともに、ブランド価値を作り上げ、ユーザーのライフバリューを高めようと日々努力している。2社ともが典型的なイノベーティブ・カンパニーと言える。