マーケットインでは大企業と互角に戦うだけのリソースがない。だから技術起点もあるのだが、そこに大事な一味を足す。「たとえば研究所で研究しているメンバーからさまざまなアイデアが生まれます。ところが実験したところ、うまくいかない。そういう話が周りに伝わってきて、『こんな使い道があるのではないだろうか』という展開になる。そうした組み合わせが重要なのです」(ユーグレナの出雲社長)。

 「技術起点で何かユニークな発見があったら、『どんどんチャレンジしよう』と言っています。ただその時に、課題発見→コンセプト化→事業モデル化という一連の流れを、ひとりでやろうとしてもそうそううまくいきません。技術起点でおもしろい課題が出てきたら、それをマーケティングの人間が『事業にできるか』『コンセプト化できるか』という観点で考えます」(ユーグレナの出雲社長)。

 課題を深堀りする技術メンバーとコンセプト化するメンバーが一緒にワイワイやって、日常的に、まさに創業が興るような環境整備を意識している。「さらにチームアップする時は、専門にもバラエティを加えます。そのほうがイノベーションは明らかに興りやすいのです」(ユーグレナの出雲社長)。

大企業からベンチャー企業への出向を

行動指針5_組織内外の壁を超えた協働を推進する

 ユーグレナは徹底したオープンイノベーションを貫いている。「私たちはミドリムシで一番ですが、自分たちでガソリンスタンドを作るわけでもないですし、缶ジュースの工場を新規に立ち上げるわけでもありません。既にある大企業のアセットにミドリムシを入れることで全く新しい高付加価値なバイオ燃料やドリンクになるというのが私たちのビジネスなので、大企業のメンバーと一緒に働いています。そうすれば、ベンチャーでもおもしろい仕事ができるのです」(ユーグレナの出雲社長)。

 創業から3年目の2008年に、同社は倒産の危機に瀕した。出雲氏は出資者探しに奔走したが、500社に断られた後、501番目に出会った伊藤忠商事の担当者が出資を決めたことで倒産の危機を免れた。その時の伊藤忠商事の担当者は、その他の500社とは一体何が違ったのだろうか。

 「マインドセットそのものが全然違いました。聞いたことがない新しいものに対して、『聞いたことがないからダメだ、他社が採用していないものはリスクだ』と思うのではなく、『だからチャンスだ』と思う、そういうマインドセットの方だったのです」(ユーグレナの出雲社長)。確かにそこは、大企業でイノベ―ションが起こりにくい大きな要因のひとつだろう。そうしたマインドセットは大企業の中にいたのでは、なかなか変えられない。ではどうしたらいいのだろうか。