松本:Hondaは技術オリエンテッドの会社であり、他に真似のできないような革新的な技術の創出こそ経営の根幹であると考えています。まさにイノベーションが根幹の会社なのです。

 だから、技術屋であっても、世の中の潮流において長期的視点を持って感じ取り、潜在的な顧客ニーズを把握できなくてはいけないわけです。「イグニッション」の合格者も、失敗するかもしれません。それでよいのです。そういうことを経験していくことこそが大切なのです。

効率性とチャレンジ精神を両立させるために

 世界の産業史に残る名経営者コンビである本田宗一郎と藤沢武夫の両氏が、本田宗一郎亡き後のことを考えて、“二階建て経営”とも言える「技術研究所」を作ったとは、何たる慧眼か。

 そのHondaをもってしても、効率性を重視し、結果の出やすい“オペレーション”の引力は存在する。松本社長が「高い目標を掲げて、失敗を奨励する、チャレンジングな」文化を様々な取り組みによって死守されている姿が強く印象に残った。

 ベルが電話機を世に出した数年後に、日本初の電話機を世に出したOKI。川崎会長の言葉からは、世のため人のためを事業として行っている企業の気概を感じる。

 デジタル化が進み大きく業務環境が変わる中で、国連での合意事項であるSDGsの達成を事業目標として掲げ、虎ノ門にイノベーションルームを開設し、Yume Proという新しい取り組みを始める。

 「優秀な人間は普通の人材ばかりで、決して破壊的想像ができる人間ではない」という松本社長の言葉に、日本の抱える課題と解決策の本質があると感じた。