川崎:昔は各事業部の中でも、上司には内緒の隠れプロジェクトなんかがありましたよね。

松本:「密造酒」と呼んだりしていました。

川崎:そう、「密造酒」。そこに、いいビジネスのタネがたくさんありました。

松本:ただし、やはり失敗の方が多い。だから、いわば摘発されないように、隠してあげないといけない。

川崎:今、我が社が取り組み始めているのは、IoTの領域で具体的なテーマを掲げて、お客様と共創する仕組みづくりです。これもまた、プロダクトアウトにならないための方法のひとつです。

 また、虎ノ門にイノベーションルームを作り、「Yume Pro(ユメプロ)」というイノベーション創出活動を立ち上げます。私たちのブランドスローガンに「Open up your dreams」というのがあります。会社として「お客様の夢を実現します」と言っているのだから、そういう夢を具現化できるようなプロジェクトを起こそうというものです。

人材を様々に評価し、活かすことで未来は担保される

松本:とにかく、「クリエーション」を言い続けないと、いつの間にか「オペレーション」の論理に引きずられてしまいます。だから意図的に、「失敗しろ」とか、「失敗したもの勝ち」と言い続けて、文化や土壌を入れ替えるくらいの努力が必要だと思っています。

 そのためにも、目標がどれだけ高く、チャレンジングなのかが大切なのです。目標が高ければ、自ずと失敗する確率も増えていきます。だから私は目標にこだわります。

 目標が高ければ、つまりは、それは世のため人のためになる高邁な思想につながると思いますし、そうなれば、多くの人が集い、たくさんの知の融合が生まれるという好循環が始まると思っています。失敗しながらも、技術は確実に成長していくはずです。

 たとえ失敗しても、企業人としてやっていけなくならないと知れば、みんなチャレンジしやすくなると思うので、「失敗を許容する、敗者復活を認める、チャンスを与える」、そういうことが大事だと思います。

川崎:人事評価についても、これまでは、実績主義に偏りすぎた面があると思います。実績というのは結局、過去の積み重ね、結果指標ですから、もっとプロセスを見る必要がありますね。ただ、プロセスを評価するのは簡単ではありませんが。