
リーマン・ショックで成長の限界が見えたカネカと、郵便物の減少や人手不足の課題に直面した日本郵便。素材メーカーと郵政事業という異なる業界に属する2社であるが、それぞれが問題に直面し、そこからイノベーションを興すための戦略には、共通項が多々あった。
カネカは社外起点でのオープンイノベーションを目指し、日本郵便はダイバーシティの考え方を積極的に取り入れ、事業の変革を興そうとしている。「イノベーション100委員会」(※)でカネカの角倉社長と日本郵便の横山社長が、「変革と成長」のに向けた方針と組織作りについて語り合った。(前編はこちら)
サプライチェーンをたどって、できるだけ消費者の近くへ
カネカの角倉護氏(以下、角倉):素材メーカーからすれば、自分たちが提供した素材が最終商品になるまでには、長いサプライチェーンがあります。私たちはいわば、そのチェーンの末端にいるわけです。通常は、自分たちの直接のお客様、つまりチェーンの次のファクターである業界の会社としか付き合いがないのです。

カネカ代表取締役社長。1987年、鐘淵化学工業(現・カネカ)入社。ベルギー駐在、高機能性樹脂事業部長などを経て、2012年6月に取締役常務執行役員に就任。2014年4月より現職。 「変革なくしてカネカの成長はない。停滞は衰退」「今までやってきたことを続けることは簡単で、快適。常に自分を追い込み、高みを目指して鍛錬を続けて、新しい世界に飛び込む勇気を持って挑戦しよう」と社員に呼びかける。
そこを私たちは、できるだけチェーンの先へ、できれば最終商品のメーカー、車で言えば、トヨタさんなどに話を聞きに出かけています。現場を見て、最終商品の消費者の意見に触れた上で、課題を明らかにして、自分たちの次のテーマ設定をしたいと思うわけです。
BtoBの事業に慣れた人間からすれば面倒なことですが、そこにはこだわりたいと思っています。それも、個人的なつながりだけでは弱いので、トップ対トップ、会社対会社の付き合いを、できるだけ消費者に近い会社とやっていきたいのです。
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