奇しくも同じ年に社会人となり、それぞれの会社でトップとなったTOTO、花王、ヤマハの各社長。今、改革に挑み続けている“同期”3人が、「イノベーション100委員会」(※)で一堂に会した。消費者のライフスタイルに直結する事業を本業とする3社は、まさに変革の時代を生き抜き、成長を続けてきた企業である。3社はどのようなイノベーションを積み重ね、社内を改革してきたのか。(前編はこちら

左からヤマハの中田卓也社長、花王の澤田道隆社長、TOTOの喜多村円社長(写真:北山 宏一、以下同)

早く“車庫”から出して、走らせながら、共創で仕上げる

花王の澤田道隆氏(以下、澤田):当社は経営会議のやり方を変えました。これまでは意思決定をするときに、大多数が賛成しなければOKにはなりませんでした。しかし、今は、全員が反対であればやりませんが、1人でも「自分にやらせて欲しい」という者がいれば、その人間に責任を持たせ任せています。

澤田道隆(さわだ・みちたか)氏
花王代表取締役社長 執行役員。1981年、花王石鹸(現・花王)入社。研究開発部門を経て、2003年、サニタリー研究所長に就任。2008年、取締役に就任し、2012年より現職。サニタリー研究所長時代に、ベビー用紙おむつ「メリーズ」の再生に寄与。

 その結果、失敗するかもしれませんが、挑戦するということだけでも、一つの突破口になると思うので、そんなふうに経営会議の決裁の方法を変えました。その結果、様々な決定がかなり迅速になりましたし、会社全体としてのやる気を創出できたと思います。

 成功体験のもう一つの弊害は、新しい試みをなかなかしなくなることですね。「もっとやればいいのに」と思うのですが、あるところまで技術が進んで、価値開発までいって、商品開発をやろうとするのですが、そこで「もうちょっと完成度を上げよう」とか、「もう少し大きなビジネスの絵を描こう」というふうに言い出す人間が現れる。そして、そこで待つことになってしまう。

(※)イノベーション100委員会とは
 企業がイノベーションを興すための方法を探るために変革の思いを持ち、行動を起こしている企業経営者がイノベーション経営について議論する場。「イノベーション経営を進める大企業経営者が100人になれば、日本は再びイノベーション国家になる」との思いを持ち、経済産業省、株式会社WiL、一般社団法人Japan Innovation Network(JIN)が2015年より共同運営している。