やはり、というべきだろうか。大統領として11年ぶりとなったロシアのプーチン大統領の来日は、北方領土問題を含めた平和条約締結交渉で確たる進展のないまま終わった。ロシア側の強硬な立場が改めて浮き彫りになった。
来日したプーチン大統領は12月16日、安倍首相と共同記者会見を行った(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 ロシアの首脳にとって、日本訪問は鬼門だ。会談では常に北方領土問題が議題の中心にならざるを得ないからだ。プーチン大統領が今回、初日の会談場所となった山口県の旅館に約2時間半遅れて到着したのも、日本側の期待値をあらかじめ下げる思惑があったのかもしれない。

 12月15日に安倍晋三首相の地元の山口、翌16日には東京に場所を移し、2日間に及んだ今回の日ロ首脳会談。大統領の到着が遅れたとはいえ、会談時間は合計で約6時間に上った。このうち領土問題を集中的に議論したのは、初日の安倍首相とプーチン大統領による通訳だけを交えたサシの会談だった。

 首相は2人だけで約95分間も会談したとし、「平和条約の問題を中心に議論した」と語った。その成果は翌日、日ロが別々に発表した2つの「プレス向け声明」に盛り込まれた。ひとつは北方4島における共同経済活動の協議開始の合意、もうひとつは4島の元島民らがロシアの査証(ビザ)なしで「自由往来」できる制度の拡充・簡素化をうたったものだった。

 なかでも注目を集めたのは、4島での共同経済活動だろう。声明では共同経済活動の協議開始が「平和条約の締結に向けた重要な一歩になり得る」と指摘。具体的な分野として漁業、海面養殖、観光、医療、環境などを挙げ、関係省庁に条件、形態などを調整する協議開始を指示するとしている。

 さらに、実施のための法的基盤の諸問題は「国際約束の締結」を含めて検討するとし、共同経済活動が「平和条約問題に関する日ロの立場を害するものではない」と明記した。声明には、両首脳が「平和条約問題を解決する自らの真摯な決意を表明した」との一文も盛り込まれた。