日ソ共同宣言と共同経済活動の組み合わせか?

 では、大統領これまでの主張、ロシア側の提案を踏まえたうえで、日本側がどのような解決策を模索しているのか。あくまでも想像の域を出ないが、想定されるひとつのシナリオは、日ソ共同宣言と共同経済活動の組み合わせだ。

 つまり、日ソ共同宣言に基づいて歯舞、色丹両島を日本に引き渡してもらい、国後、択捉両島は共同経済活動によって日本人の往来、現地での日本企業のビジネスなどを自由にする――というシナリオである。

 ただし、仮にこうしたシナリオに近い線で動いているとしても、交渉の進展は容易ではない。大統領は日ソ共同宣言の履行に高いハードルを設けているからだ。共同経済活動にしても、北方4島すべてを対象に帰属問題を棚上げしたまま着手し、まずは日本の関心と関与の度合いを試そうという思惑があっても不思議ではない。

 そもそもプーチン大統領は前述したように、日ロはまだ「高いレベルの信頼関係」に至っていないとみなしている。安倍政権は「8項目プラン」に基づく大規模な対ロ経済協力をテコに信頼関係を強めようとしているが、ロシア側はまだその具体的な恩恵を実感できていない。

 ペスコフ大統領報道官によると、プーチン大統領はペルーでの首脳会談で「今年上半期の日ロの貿易領が前年同期に比べて36%も減った」と苦言を呈した。肝心の経済分野ですら「信頼関係」にはほど遠いということだろう。

 ちなみに大統領は貿易額減少の一因として、第三国による政治的圧力の影響を挙げたという。「米国に追随する日本」というイメージも相変わらず拭えないのかもしれない。

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