随所に垣間見えるトランプ氏への共感

 ロシア南部の保養地ソチで10月末、毎年恒例の内外有識者との会合「バルダイ会議」が開かれた。その会合の質疑応答の場で、大統領はロシアの学者からこんな質問を受けている。

 「海外のマスメディアでは、米大統領選でロシアがお気に入りの候補はトランプ氏だとされています。実際、米国の次期大統領はロシアに、あるいは米ロ関係にどんな役割を果たすでしょうか」

 プーチン大統領はまず、米大統領選における「ロシアのお気に入り」が海外メディアで流布されているのは、クリントン氏を支持する陣営がトランプ氏の陣営に対抗するのが唯一の目的だと言明。こうしたロシアを敵に見立て、トランプ氏をロシアのお気に入りと揶揄(やゆ)する手法は全く有害で、完全なナンセンスだと批判している。

 さらに、どちらの候補が当選するにせよ、実際にどのような政策を履行し、履行しないかは分からないので、「結局は我々にとってどうでもよいことだ」と指摘した。ただし、「米国とロシアとの関係正常化の考えや意向を公の場で語ってくれれば、それを歓迎しないわけにはいかない」とも付け加えている。

 プーチン大統領は米国でのトランプ旋風の背景にも触れ、「何十年にもわたって政権の座に居座り続けるエリート層に疲れた人々の利益を代弁したものだ」などと解説した。最後は「我々は米国民が選んだ、どの大統領とも共に働く」と外交儀礼的な答弁をしたが、トランプ氏への共感が随所に垣間見える発言だったともいえる。

ロシア国民も「トランプ大統領」を支持

 こうしたプーチン大統領の心情は、ロシア社会でも共有されていた。政府系の世論調査会社「全ロシア世論調査センター」が10月に実施した調査では、どちらの米大統領候補が勝てばロシアの国益に合致するかとの質問に対し、トランプ氏が35%、クリントン氏が6%だった。

 また、トランプ氏が勝利すれば、米ロ関係が「よくなる」と予測する回答が29%だったのに対し、クリントン氏の場合はわずか4%。クリントン氏が当選すれば、逆に関係が「悪くなる」とする回答は実に45%に上った。

出所=全ロシア世論調査センター(調査は2016年10月実施)