ロスネフチによる自社株買いも
ロシア政府が国際会計事務所に試算を依頼し、それをもとに事前に想定していたバシネフチ株の売却価格は2970億~3150億ルーブル。ロスネフチが提示した価格はそれを上回ったが、不可思議なのは公開入札という当初の触れ込みと違い、ほぼ秘密裏に契約が結ばれたことだ。
ウリュカエフ経済発展相は入札に2社が参加し、ロスネフチだけが想定価格を上回る額を提示したと説明する。しかし、有力経済紙のベドモスチは、当初有力とされたルクオイルを含めて入札に関心を示した各社には正式な応札要請がなく、民営化の条件や入札日の公表を待っている間にロスネフチへの売却が発表されたと報じている。
「大民営化」という当初の掛け声とはかけ離れた入札騒動となったわけだが、これを巡ってはさらに続きがある。政府の指令書が公布された2日後の10月12日。プーチン大統領は政府会議で、バシネフチ株の購入代金を支払ったロスネフチの潤沢な資金力に注目し、今度はロスネフチによる自社株買いを「暫定的な措置」として認める可能性に言及したのだ。
政府はロスネフチも“民営化”の対象としている。同社については国家管理を維持しながら、全体の19.5%の株式だけを売却する計画だが、大統領発言の趣旨はこれをロスネフチによる自社株買いの形で代替し、得られる資金を財政赤字の穴埋めに充てるというものだった。
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