
ロシアで最近、プーチン大統領が断行した人事が臆測を呼んでいる。クレムリンの中枢である大統領府を率いるセルゲイ・イワノフ長官(63)を解任したことだ。
後任の大統領府長官には、若手のテクノクラートであるアントン・ワイノ副長官(44)が昇格した。イワノフ氏は自然保護活動と環境・輸送問題を担当する大統領特別代表に任命され、大統領府の安全保障会議のメンバーにも残る。
一連の人事は8月12日に発令された。その直前、プーチン大統領はイワノフ、ワイノ両氏を執務室に呼んで3人で会談している。大統領府によれば、要約するとだいたい以下のような会話が交わされた。
プーチン大統領(イワノフ氏に対して)「我々は長い間ともに働き、首尾良く働いてきた。大統領府長官の職務は4年以上に及んでおり、別の職に就きたいという貴兄の要望は理解できる」
プーチン大統領(ワイノ氏に対して)「セルゲイ・ボリソビッチ(イワノフ氏のこと)が後任の大統領府長官にあなたを推薦した。この仕事を引き受けてもらいたい。これまでと同様、大統領府の仕事が効果的で高い専門性を持ち、できるだけ不毛な官僚主義を排し、具体的な成果に満ち、課題を解決する能力をもつようにしてほしい」
イワノフ氏「まずは17年間に及ぶ私の仕事を高く評価して頂いたことに感謝します。大統領府の創設から25年がたちました。私は11代目の長官でしたが、長官在職期間は4年8カ月に及び、歴代で最長となりました」
ワイノ氏「信頼に感謝します。大統領府の主要な任務は、大統領としてのあなたの活動を万全の態勢で支えることだと認識しております」
会談の発言を素直に受け止めれば、イワノフ氏はかねて激務である長官職の辞職を求め、プーチン大統領が同氏の要望や後任候補の推薦をそのまま聞き入れる形で、今回の人事が発令されたことになる。
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