国連総会決議でロシアを支持しなかった中国

 国際社会では、中国が南シナ海で実効支配を強める動きはしばしば、ロシアが2年前、ウクライナ領クリミア半島を併合した経緯と同列視される。ともに国際法を順守せず、軍事的な圧力で一方的に「領土」を拡張したという趣旨だ。

 では、クリミア併合に対する中国の反応はどうだったか。国連総会はクリミア併合直後の2014年3月末、「ウクライナの領土一体性」を支持する決議を採決している。ロシアはもちろん、アルメニアやベラルーシ、北朝鮮など11カ国がこの決議に反対したが、中国は「棄権」だった。中国もまた、ロシアの行動を支持しなかったわけだ。

 クリミアと南シナ海――。中国とロシアが真の「蜜月」関係であれば、国際的な批判の矢面に立たされている両国が共闘してもおかしくないわけだが、そんなレベルには到底、至っていないのが実情といえるだろう。

進まない経済連携

 中ロ関係は本当に「蜜月」なのか。相互の疑心は経済協力にも垣間見られる。

 中ロは両国間の貿易額を15年に1000億ドル、20年に2000億ドルに伸ばす目標を掲げてきた。しかし、昨年の実績はおよそ635億ドルにとどまり、前年比で30%近くも減少した。

 ロシアの中国専門家によれば、15年の中国の対外投資に占める対ロ投資の比率は0・5%にも満たなかったという。プーチン大統領も新華社との会見で、「両国関係がうまく発展するための努力が足りない」と認めている。

 確かに、6月末のプーチン大統領訪中の際には、中ロは親密な関係を改めて誇示した。共同声明から個々の経済協力の覚書まで含めて、両国が調印した合意文書は合計で37に上った。

 ただ、プーチン大統領が首脳会談後の共同記者発表で例示した両国の協力案件は、東西のパイプラインを通じたロシア産天然ガスの対中供給、モスクワとカザン間の高速鉄道建設など、以前から合意済みのものも多かった。しかも「供給条件を詰めている」と大統領が言及した西ルートの天然ガス供給は、いったん覚書に調印したものの、中国側が難色を示して交渉がほとんど進んでいないのが実情だ。