「原則としてどの国の側にも立たない」とロシア

 中ロは米国への対抗意識が強いが、外交・安保のあらゆる面で連携を強めているわけではない。むしろTHAADのように、自国の国益にともに負の影響を及ぼす案件に限り、協調姿勢を誇示しているだけだと見るべきなのだろう。

 それを如実に示したのが、南シナ海問題をめぐる対応だ。

 オランダ・ハーグの仲裁裁判所は今月12日、中国が主張する主権や管轄権、歴史的権利に根拠がないと認定した。人工島を造成するなど、南シナ海で実効支配を強める中国の主張に国際法上の根拠がないと断定したわけだ。

 「判決に基づくいかなる主張や行動も受け入れない」。習主席は北京を訪問していた欧州連合(EU)のトゥスク大統領にこう語った。とはいえ、中国にとって決して寝耳に水の判決ではなかった。中国は自国に不利な結果をあらかじめ想定し、親中派の国々への外交的な説得を積極的に進めていたからだ。

 6月23~24日、ウズベキスタンの首都タシケントで開かれた「上海協力機構」の首脳会議も、その格好の場となった。中国とロシア、さらに中央アジア5カ国のうちトルクメニスタンを除く4カ国が参加する同機構は、もともと地域の安保面での信頼醸成を主眼にしていたが、近年は中国が経済支援をテコに加盟各国との関係を深める場としても利用されてきたからだ。

 実際、習主席はタシケントで精力的に2国間会談も行った。新華社によれば、このうちタジキスタンのラフモン大統領は習主席との会談で南シナ海紛争を「国際問題化する試みに反対する」と表明し、中国の立場を全面的に支持したという。

 ところがロシアはどうか。仲裁判決後も公式声明は出さず、外務省のザハロワ情報局長が14日の記者会見でようやく、「原則としてどの国の側にも立たない」との公式的な立場を明らかにした。この問題では中立的な姿勢を堅持し、中国を支持しなかったわけだ。