「我々の立場は極めて近いか、完全に一致している」

 実はこのTHAAD配備をめぐっては、中ロが連携して事前に警告を発してきた経緯もある。ロシアのプーチン大統領が6月25日、北京を公式訪問し中国の習近平国家主席と首脳会談を開いた時だ。両首脳は会談後、合意文書のひとつとして「世界の戦略的安定強化に関する共同声明」を発表したのだ。

 声明で両首脳は、世界では今、特定の「国家」や「軍事政治同盟」が国際的な戦略的安定に否定的な影響を及ぼす不穏な動きが広がっていると警鐘を鳴らした。その上で、とくに欧州や北東アジアでのMDシステム配備に反対する立場を鮮明にした。いわば中ロが共闘して、米国とその同盟国、あるいは北大西洋条約機構(NATO)の動きをけん制したわけだ。

 中国軍とロシア軍は5月末には米国に対抗し、コンピューターを使ったミサイル防衛演習も初めて共同で実施している。

 中ロはかねて「蜜月」の関係とされる。プーチン大統領は先の中国訪問に先立ち、新華社とのインタビューで「外交問題をめぐる我々(中ロ)の立場は極めて近いか、あるいは完全に一致している」と述べている。こうして見てみると確かに、外交や安全保障分野でも両国は連携を深めている印象を受ける。

 折から先月8~9日、ロシア海軍の駆逐艦など3隻と中国海軍のフリゲート艦1隻が相次ぎ、沖縄県・尖閣諸島の接続水域内に一時的に入る“事件”も起きた。この問題をめぐっても当時、中ロが連携して日本をけん制したのではないか、といった噂が流れた。

 しかし実際は、中ロ海軍の連携は確認されていない。むしろ中国海軍が尖閣諸島の接続水域内に意図的に入る理由付けとして、ロシア海軍がたまたま利用されたというのが真相のようだ。