コミー氏のロシア亡命を提供する用意がある

 プーチン大統領はコミー前米連邦捜査局(FBI)長官による米上院情報特別委員会の公聴会での証言に関する別の参加者の質問に対しても、「FBIの前長官は米大統領選でロシアの介入があったとみなしているが、今回もいかなる証拠も示さなかった」と反論した。

 大統領はさらに、そもそも米情報機関のトップがトランプ大統領との会談記録を友人経由でマスコミに流すのはとても奇妙な話だと言明。コミー前長官の行動は米政府の情報収集活動を暴露してロシアに亡命中のスノーデン米中央情報局(CIA)元職員と大差はないとし、「我々は彼(コミー氏)にもロシアへの政治亡命を提供する用意がある」と痛烈に皮肉った。

 「プーチンとのホットライン」は事前に大統領府と入念な調整をしているといわれる。それだけに、ロシアゲートを巡るプーチン発言はロシア国民が「米国の内政問題で、ロシアとは全く無関係」と納得できるように構成した面は否定できない。

 ただ、国際的な関心の高まりを受け、プーチン大統領が様々な場面でこの疑惑をめぐるコメントを余儀なくされているのは事実だ。かつ、その発言内容はほぼ一貫しているといっていい。

 例えば6月初め、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラム。プーチン大統領は総会演説後の質疑応答でロシアゲートが取り上げられると、「これは我々の問題ではなく、米国の国内の政治問題だ」と何度も強調。この疑惑は国際関係や国際経済、安全保障やテロとの戦いにも悪影響を与えているとして、早期に終止符を打ち、米国との「正常な協力」を開始すべきだと訴えた。

 大統領はこの経済フォーラムの場で、米NBCテレビとのインタビューにも応じている。当事国のメディアとあって、質問の大半がロシアゲートを巡る疑惑に割かれた。米大統領選への介入の有無、キスリャク駐米ロシア大使は誰と会っていたのか、トランプ陣営との秘密ルートの可能性、対ロ疑惑で早々に辞任したフリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)との関係などだ。

 辛辣で細かい質問の連続に、大統領もさすがに憤りをあらわにする場面もあった。特に駐米ロシア大使の行動を聞かれた時には、「米国を含めて世界に駐在する大使が毎日、誰に会ったかを私に報告すると思っているのか。あなたは何を質問しているかわかっているのか」と激しい調子でまくしたてた。米大統領選への介入疑惑をめぐっても、「世界の至る所で他国の選挙に盛んに介入しているのは米国の方ではないか」と反論した。

 その一方で、「私はロシアが米大統領選に直接介入したという証拠を一度もみていない」とし、そもそも「米国のような大国の選挙結果に影響を与えることはいつの時代であっても不可能だ」と述べている。