核戦力をめぐる米ロの攻防は激化の一途

 そのNATOの東方拡大は99年、チェコ、ハンガリー、ポーランドの3カ国の加盟で始まった。米ロ間で事実上の手打ちがあったのは、97年のヘルシンキ首脳会談だった。米側はクリントン大統領、ロシア側はエリツィン大統領だった。米国がこの首脳会談で3カ国加盟の見返りに約束したのが、ロシアのG8(主要8カ国)入りだった。

 NATOの東方拡大はその後も続き、2004年には旧ソ連の構成共和国だったバルト3国も加盟した。一方でロシアは、14年春のクリミア併合を機にG8の枠組みから排除された。ウクライナ危機をきっかけにバルト・東欧諸国はロシアの脅威をことさら訴えるようになり、米国はNATOの対ロ防衛能力の強化に動き始めた。ロシアはそんな米国への対抗意識をむき出しにし、核兵器の近代化や再配備に努めているのが現実である。

 米ロは世界の核弾頭の9割以上を保有する。核廃絶に向けては米ロが率先して核軍縮に取り組む必要があるが、現状ではその機運は全くみられない。英エコノミスト誌は今年1月、米国の現政権が30年間で1兆ドルを投じ、核兵器の更新を計画していると報じた。オバマ大統領の唱える「核なき世界」の理想と、核戦力をめぐる米ロの激しい攻防が続く現実。その落差はあまりに大きい。

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