「パナマ文書」は、ロシア政権には全く打撃を与えていない。(写真:ロイター/アフロ)

 全ロシア国営テレビ・ラジオ放送会社――。何とも長ったらしい社名だが、「ロシア1」「ロシア2」など、全国ネットの主要テレビ局を運営する巨大メディアグループだ。現在、傘下には30のテレビ局、5つのラジオ局、94の地域会社を抱えているという。プーチン政権にとっては、国家、国民のために精力的に活動する大統領の姿を宣伝するうえで欠かせない存在となっている。

 大統領は5月13日、この巨大メディア企業のソチ支部を訪れ、幹部やジャーナリストたちを激励した。今年が設立から25年にあたり、祝辞を伝えるためだった。大統領はその席で、こんな発言をしている。「独占は常に有害だ。とくに情報分野においてはそうだ」「視聴者には様々な視点を提供する必要がある」。

独立系メディアで編集幹部や記者が相次ぎ辞表を提出

 まさにその当日、モスクワでは大統領の発言とは裏腹の現実を認識させられるような"事件"が起きた。独立系の大手メディアグループ「RBC」で、経済紙RBCの編集局長らグループの編集幹部がこぞって辞任したのだ。事実上の解任で、これに抗議する同社の編集幹部や記者たちも相次ぎ辞表を提出した。

 「RBC」はロス(ロシア)・ビジネス・コンサルティングの略で、ビジネス情報を中心にしたメディアグループだ。有力経済紙RBCのほか、経済専門のテレビやインターネット配信、出版物なども手掛ける。実質的なオーナーは大富豪の実業家ミハイル・プロホロフ氏で、同氏が率いる「オネクシム・グループ」の傘下にある。

 プロホロフ氏は世界的にも、NBAのプロバスケットチーム「ブルックリン・ネッツ」のオーナーとして知られる人物だ。ロシア国内では2012年の大統領選挙に出馬し、プーチン氏に敗れたものの得票率で3位になった経緯がある。市民勢力の結集をめざす政治活動にも前向きだが、権力に真っ向から刃向かうことはなく、これまでプーチン政権とはそれなりに良好な関係を維持しているとみられていた。