政権内でも拭えない「ロシア外し」懸念

 とはいえ、プーチン政権も内心では「ロシア外し」への警戒感を拭えないのは事実のようだ。例えばラブロフ外相が4月10日、モスクワでの李外相とのロ朝外相会談後に単独で開いた記者会見では、次のようなやりとりがあった。

 質問「最近、中国が北朝鮮問題の対話を4カ国、つまりロシアと日本抜きの枠組みで行おうと米国に提案したとのメディアの情報がありますが……」。

 ラブロフ外相「4月5日に中国の王毅外相がモスクワを訪問した際、我々は同僚であり、パートナーでもある中国の友人に、それは本当かどうかを直接聞きました。彼はそのような噂を完全に否定しました」。

 ラブロフ外相自ら中国に直接、噂の真偽を問いただしたことは、「ロシア抜き」への懸念がいかに根強いかを如実に示したともいえる。

 ロシアはソ連時代、北朝鮮の建国に深く関わるなど、同国とは極めて密接な関係にあった。しかし今では北朝鮮への影響力はほとんどなくなり、北朝鮮の対外貿易に占めるロシアの比率も1%程度に過ぎない。全体の9割以上を占めている中国との差は歴然だ。

 しかもロシアは極東で北朝鮮と国境を接しているものの、国民の間では北朝鮮の核・ミサイル問題への関心が総じて薄い。政府系世論調査会社「全ロシア世論調査センター」が昨年5月、大量破壊兵器の使用との関連で、ロシアの脅威となる国や組織はどこかを聞いたところ、圧倒的なトップが米国で、北朝鮮は4番目にとどまった。

 実質4期目を始動させたプーチン政権としては、半島情勢にも積極的に関与し、ロシアの国際的な影響力を誇示したいのは山々だろう。ただ、北朝鮮との関係の薄さや国内の関心の低さを考えれば、北朝鮮の核問題や半島の平和定着に向けた協議で、ロシアが主要プレーヤーに浮上するとは考えにくい。

 プーチン大統領は4月29日、南北首脳会談を受けて韓国の文大統領と電話会談した際、ロシア外務省のコメントにもあったように、南北とロシアの3カ国間のインフラ、エネルギー事業の実現などを通じて、南北協力を支援する意向を表明した。南北の鉄道とシベリア鉄道の連結、ロシア産天然ガスを輸送する南北縦断パイプラインの建設などを想定しているとみられる。

 プーチン政権としては6月の韓国の文大統領の訪ロ、中ロ間で水面下の調整が進む中国の習近平国家主席の9月のウラジオストク東方経済フォーラム出席といった機会を利用。関係国首脳に6カ国協議の必要性を粘り強く求めるとともに、実現の是非を含めて今は全く不透明な南北との3カ国協力事業をエサに、半島関与の必然性を訴えていくことになりそうだ。