5月6日、ロシアで2年ぶりに日ロ首脳会談が開かれた(代表撮影/ロイター/アフロ)

 プーチン大統領は大のスポーツ好きだ。自ら様々なスポーツに果敢に挑戦するし、スポーツが国民の愛国心をくすぐり、ひいては国民の支持を自身に集める手段として利 用できることも十分に心得ている。

 そのロシアで5月6日、2016年のアイスホッケー世界選手権チャンピオンシップが開幕した。今年は80回目の記念すべき大会で、アイスホッケーはロシア国民の間でとくに人気のスポーツだ。

 そんな注目度の高い国際大会の開幕式での演説は、国家指導者にとって格好の国民向けアピールとなるはずである。ところがモスクワで開かれた開幕式に、プーチン大統領の姿はなかった。この日、栄誉ある演説をしたのはナンバー2のメドベージェフ首相だった。

3時間超の首脳会談で見せた「日本重視」の姿勢

 大統領はどこにいたのか。一昨年の冬季五輪の開催地として世界的に有名となった、南部の保養地ソチである。

 日本の安倍晋三首相との首脳会談が主要な目的だった。同日夕刻から始まった日ロ首脳会談は少人数会合、通訳のみを交えた2人の会談、そして閣僚らも交えたワーキングディナーと続き、合計で3時間10分に及んだ。大統領は当初、日ロ首脳会談を短時間で切り上げ、首相が同意すれば一緒にモスクワに向かい、チャンピオンシップの開幕式に出席する案も検討したようだが、結局は断念した。それだけ安倍首相とのソチでの会合を重視したわけだ。

 「日本は単に我々の隣国だけでなくパートナーだ。とくにアジア太平洋地域における重要なパートナーである」――。大統領は会談の冒頭、日本を重視する姿勢を強調し、ソチを訪れた首相を歓待した。

 非公式会談にもかかわらず、ディナーまで用意してもてなした。3時間を超える会談時間は2013年4月、安倍首相がモスクワを公式訪問した時とほぼ同じだ。これらを踏まえれば、日本重視の姿勢は単なる外交辞令ではなく、大統領の本音とみてもいいだろう。