実はプーチン大統領はくだんのイルクーツク会談直前のインタビューで、「そこ(日ソ共同宣言)には、いかなる条件でそれらの島々(色丹、歯舞)を引き渡すか明記されていない」とも述べていた。イルクーツク声明は同宣言を「交渉プロセスの出発点」と規定したものの、大統領の思惑は当時から出発点がゼロ回答で、「最大限譲歩しても2島」だったのかもしれない。

 その当時と比べて、ロシアによる北方領土のインフラ整備は着実に進んでいる。約3000人のロシア人が暮らす色丹島でも病院などが新設され、昨年7月にはスクボルツォワ保健相が現地を視察した。

 加えて、ロシア社会でウクライナ領クリミア半島の併合以降、ナショナリズムが台頭する現状も踏まえれば、プーチン政権が領土交渉のハードルをさらに上げてくる可能性が大きい。ハードルをクリアするような"果実"を日本側から得られない限り、2島ですら手放すつもりはないとみるべきだろう。

 安倍政権はこうした厳しい現実を前提に、ロシアとの粘り強い交渉に臨む必要がありそうだ。