ロシアでは次期大統領選が2018年3月に予定される。プーチン大統領の再選が有力視されているものの、さすがにマンネリ化した長期政権のイメージを打破するための新機軸が不可欠になる。その布石は打っているのだろうか。

2016年、ロシアで開かれた経済フォーラムに出席したアレクセイ・クドリン元財務相。プーチン大統領再選の鍵を握るキーマンだ。(写真:ロイター/アフロ)

 今年はプーチン大統領にとって、受難の年になるのではないか。モスクワっ子たちの間で今、半ば冗談まじりにこんな観測が広がっている。

 プーチン大統領は近年、米国や欧州との対決姿勢を前面に押し出し、米欧の圧力に屈しない「偉大なロシア」を誇示することで、国民の支持を集めてきた。とくにウクライナ領のクリミア半島を併合し、米欧が厳しい経済制裁を発動した2014年以降、こうした傾向が強まっていた。

 ところが米国では、ロシアに厳しく接してきたオバマ政権に代わって、米ロの良好な関係づくりに意欲を示すトランプ新政権が誕生した。冷戦後で最悪とまでいわれた米ロ関係が改善する可能性がでてきている。

 英国の欧州連合(EU)離脱決定をきっかけに混乱が続く欧州でも、今年はフランスの大統領選、ドイツの連邦議会選挙などが控える。欧州の主要国もロシア問題に面と向かって対処する余裕がなくなりつつあるのが現状だ。

 そうなると、米欧を“敵”にみたて、国民の愛国心を鼓舞してきたプーチン戦略も軌道修正を迫られる。米欧との関係改善は本来、ロシアが望むべき方向性だが、プーチン大統領にとっては皮肉なことに、求心力を失うきっかけになりかねない。「受難の年」とささやかれるゆえんである。

 ロシアでは実際、主にトランプ効果とみられる国民の意識変化もうかがえる。

 独立系世論調査会社レバダ・センターが昨年12月、「現時点でロシアに敵はいるか」という設問で調査したところ、68%が「いる」と回答した。依然として5割は超えているが、例えばクリミアを併合した年の2014年9月に実施した同様の調査では、「敵がいる」が84%に達していた。