世界で今、もっとも影響力のある政治家は誰か。米フォーブス誌の評価もさることながら、真っ先に浮かぶのはやはりプーチン大統領だろう。2000年に大統領に就任して以降、「プーチンのロシア」は大きな存在感を内外に示している。だが、その権威主義的な体制ゆえに、ロシアの実態は逆に見えにくくなったとの指摘もある。日本経済新聞の編集委員がロシアにまつわる様々な出来事を大胆に深読みし、解析していく。
シリーズ
解析ロシア

完結
65回
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陰るプーチン神話、募る国民の不満
善しあしは別にして、プーチン大統領は世界でも突出したカリスマ性をもつ政治指導者だ。なぜ20年近くにわたって強大な権力を掌握できたのか。今後の統治に死角はないのか。世論調査を通して長年、ロシアの真相を浮き彫りにしてきたレバ…
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北方領土は戻ってくるのか?
「戦後外交の総決算」を掲げる安倍晋三首相が、北方領土問題の解決に意欲を示している。平和条約締結後の色丹、歯舞両島の日本への引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に協議を加速するという。過去の経緯も踏まえながら交…
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ロシアの孤立深めたウクライナ艦船拿捕
クリミア半島周辺で11月末、ロシアがウクライナ艦船を銃撃し、拿捕(だほ)する事件が起きた。背景にあるのはクリミアの帰属を巡る対立だ。ロシアはウクライナによる挑発と主張するが、国際世論はウクライナ擁護に傾き、プーチン政権が…
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北方領土交渉、安倍首相の危うい選択
日ロ首脳は11月14日にシンガポールで開いた会談で、1956年の日ソ共同宣言を基礎に、平和条約締結交渉を加速することで合意した。自らの任期中に北方領土問題を決着させたいという安倍晋三首相の意欲の表れだろうが、果たして交渉…
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プーチン大統領の後継者は誰か
ロシアでプーチン大統領の人気に陰りが見え始めた。年金制度改革で国民の反発を招いた影響が大きいが、実質4期目に入った長期政権への「飽き」を指摘する声も根強い。政治専門家の間ではポスト・プーチン時代を見据え、後継候補を予測す…
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核廃棄条約破棄はプーチン政権の痛手に
米国のトランプ大統領がロシアとの中距離核戦力(INF)廃棄条約を破棄する意向を示した。ロシアによる条約違反がその理由という。実際に条約が破棄されるようならロシアも大手を振って開発・配備に取り組めるわけだが、プーチン政権は…
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日ロのガスパイプライン構想、ボールは日本に
日ロ経済協力の大きな柱のひとつがエネルギーだ。特に天然ガスをめぐっては様々な共同事業構想も浮上しているが、ロシアは日本市場を含めたアジア戦略をどのように描いているのか。国営天然ガス会社「ガスプロム」のアレクサンドル・メド…
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プーチン大統領は「日ロの領土交渉に疲れた」
一切の前提条件なしに、年末までに平和条約を締結しよう――。ロシアのプーチン大統領が今月中旬、ウラジオストクでの東方経済フォーラムの全体会合で意表を突く提案を日本に投げかけた。その意図はなにか。ロシアの著名な国際政治学者フ…
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年金改革はプーチン氏の鬼門か
ロシア社会で今、極めて大きな関心事となっているのが年金制度改革だ。小欄でも何度か取り上げてきたが、受給開始年齢を引き上げる政府案に国民が反発。政権批判の声が強まり、プーチン大統領の支持率も低下した。事態を重くみた大統領は…
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トルコの二の舞になりたくない
クリミア半島の併合、米大統領戦への介入、神経剤を使った襲撃事件への関与、対北朝鮮制裁の決議違反……。米国のトランプ政権がロシアに対する制裁措置を次々と発動している。通貨ルーブルが下落するなど経済への打撃も顕在化しており、…
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年金改革への反発恐れるプーチン氏
ロシアで絶大な国民人気を誇るプーチン大統領にも死角がある。先月も小欄で紹介したが、通算4期目になってようやく着手した年金制度改革に国民の批判が集中。かじ取りを誤れば、政権の足元をすくわれかねない情勢となっているからだ。
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トランプ氏の秋波に困惑のロシア
フィンランドの首都ヘルシンキで7月16日、トランプ大統領とプーチン大統領による米ロ首脳会談が開かれた。冷戦後最悪といわれるほど関係が悪化するなか、1年ぶりで実質2回目となる両首脳の会談に世界の注目が集まったが、大きな成果…
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「責任の押しつけ」で延命図るプーチン氏
通算4期目に入ったロシアのプーチン政権がついに、国民に痛みを強いる経済改革に乗り出した。年金の受給開始年齢の引き上げだ。中高年者層を中心に早くも反発の動きが広がるなか、プーチン大統領はこの難局をどう乗り切ろうとしているの…
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ロシアはもうG8復帰を望まない
6月上旬にカナダで開かれた主要7カ国(G7)首脳会議(シャルルボワ・サミット)。貿易問題で米国と他国の対立が鮮明となり、G7体制の限界を浮き彫りにしたが、もうひとつ話題となったことがある。ロシアを呼び戻して再び「G8」に…
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ロシアと欧州はなぜ関係改善できないか
欧州首脳のロシア詣でが相次いでいる。シリア情勢やイランの核問題などに対処するには、いやがおうでもロシアの力を借りる必要があるということか。ただし双方の間にはウクライナ問題という根深い溝が横たわっており、本格的な関係改善に…
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改革より体制維持優先したプーチン氏
モスクワのクレムリンで今月7日、プーチン氏のロシア大統領就任式典が盛大に行われ、通算4期目が始動した。大統領は政権運営の新たな柱に「人々のためのロシア」を掲げ、とりわけ国内の社会・経済改革に取り組む意向を示した。実態は…
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朝鮮半島急展開、募るロシアの置き去り懸念
朝鮮半島情勢が急展開している。中朝、南北首脳会談に続き、史上初の米朝首脳会談の開催も間近に迫り、北朝鮮の核問題解決への期待も広がりつつある。こうした中、日本とともに蚊帳の外に置かれ、置き去り懸念を募らせている国がある。ロ…
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対米報復はロシア自身の首を絞める
米国のトランプ政権がロシアの新興財閥も標的にした対ロ経済制裁を発動した。通算4期目の任期入りを控えたプーチン政権にとって大きな打撃となる。対米報復を唱えているものの、有効な策を打てずに二の足を踏んでいるのが現実だ。
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プーチン氏はなぜ大勝で再選されたのか
3月のロシア大統領選で、現職のプーチン大統領が予想通り再選された。得票率は過去最高となり、史上初めて有権者の過半数の支持を得た。首相時代も含めて、すでに18年近くもトップの座に君臨しているのに、今回の選挙で大勝した要因は…
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元スパイ暗殺未遂はロシアによる「みせしめ」か
ロシア大統領選で再選を決めたプーチン大統領が外交上の難題に直面している。英国で神経剤を使ったロシア人の元スパイ襲撃事件が起き、英ロ関係が急速に悪化。英国は他の米欧諸国などとも連携し、反ロ包囲網を築こうとしているからだ。
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