ジャニーズ、EXILE、韓流の3極がけん引してきた男性アイドル市場。しかし今、大手事務所が相次ぎ男性アイドルグループをデビューさせ市場が急拡大している。背景にあるのは、ネットを使ったビジネスモデルへの移行だ。

MEN'S UNIT DELiGHTには、12組の男性アイドルグループが参加した
MEN'S UNIT DELiGHTには、12組の男性アイドルグループが参加した
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 3月9日、赤坂BLITZのライブ会場は異様な熱気に包まれていた。会場を見渡す限り、女性、女性、女性・・・。ペンライトや手作りの応援ウチワ、垂れ幕などを手に、皆ソワソワした様子だ。17時半、黄色い歓声とともにキラキラした男性アイドルグループが勢いよく飛び出してきた。

 この日、赤坂BLITZで開催されていたのは、「MEN'S UNIT DELiGHT」。月刊誌「JUNON」とスマートフォン(スマホ)向けアプリを手がけるフォッグ(東京・渋谷)が主催するライブイベントだ。出演者は、12組の男性アイドルグループ。入れ代わり立ち代わりステージに登場し、各々の持ち歌を歌っていく。セーラー男子(「ZEN THE HOLLYWOOD」)、おとぎ話コンセプト(「SUPER FANTASY」)、名古屋発ユニット(「#ハッシュタグ」)など12組それぞれ特長があり、趣向を凝らしたパフォーマンスで会場を盛り上げた。

 「アイドル好き」を周囲に公言しテレビの歌番組もよくチェックしている記者だが、正直なところ、12組の男性アイドルグループの半分以上が初見だった。しかし会場に目を向けると、ファンは彼らのダンスを真似して踊ったり、メンバーの名前をひたすら叫んだりしている。熱量がすさまじい。

 「テレビの露出は少ないけれど、たまたまYouTubeでMVを見てファンになった」。ライブ終了後、神奈川から来たという女性2人組に話を聞くと、ファンになるきっかけはネットだったという。「毎週どこかでイベントをしている。直接会える機会が多くて嬉しい」と笑顔だ。

ジャニーズに勝ったご当地アイドルグループ

 男性アイドル市場が黎明期を迎えている。ここ数年で、エイベックスやスターダストプロモーション、ワタナベエンターテインメントなどの大手事務所がこぞって参入。大手に限らず地方発の男性アイドルグループも続々と誕生している。

 「AKB48グループやももいろクローバーZの人気に火がついた7~8年前の『女性アイドルブーム』と同じ空気を感じる」。フォッグが運営するアイドルの画像投稿アプリ「チアーズ」で、企画推進チームのリーダーを務める関根康人氏はこう語る。

 その象徴的なエピソードがある。昨年8月末、ジャニーズの人気グループ「Kis-My-Ft2」と名古屋発のアイドルグループ「BOYS AND MEN」が同日にシングル曲を発売したところ、オリコンデイリーランキングでBOYS AND MENが1位を獲得。週間ランキングではKis-My-Ft2が逆転したものの、「発売初日でジャニーズに勝ったグループ」としてBOYS AND MENの名前は一気に知れ渡った。

 女性アイドルの画像投稿サービスを手掛けてきたフォッグも、こうした大きな流れを受けて今年から男性アイドルや俳優が集まる画像投稿サービスの提供を開始した。

 これまで男性アイドル市場は、ジャニーズ、EXILE、東方神起などの韓国アイドルがけん引してきた。しかし、ここにきて一気にプレーヤーが増え、市場が拡大している。なぜか。

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