ソフト重視の加速が必要

アジアに目を向けると、J-POPよりも韓国のK-POPのほうが大きなファンダムを抱えています。

秋元:K-POPはある種の国策ですよね。文化戦略が成功していて、例えばベトナムではK-POPがカッコいいから韓国の化粧品やLG電子のパソコンが売れたりします。

 日本も「クールジャパン」を打ち出していますが、韓国に比べれば国策の力も弱く、企業もこうした文化戦略を理解している人がまだ少ないのではないかと思います。

 僕が危惧しているのは、多くの日本の企業がこうしたソフトのコンテンツよりも、まだハードウェアのスペックを重視している点です。例えばテレビなら、4Kや8Kってこんな性能で、こんなにすごいんですよって最初に説明しますよね。でも大事なのは、4K、8Kで何を見たいのか。そのソフトの部分が重要なんです。

 任天堂がスーパーファミコンを発売したときに、人々はマリオゲームをやりたいからファミコンを買いました。ソフト先行になれば、そのソフトをどう作るかによってハードはそれを生かすものにおのずと変わっていくはずです。

以前あるアイドルが、アイドル産業が活発であることは、何かに夢中になっている国民が多いということで、それは非常に健全な社会だと言っていました。秋元さんから見て、アイドルの存在は日本社会、経済にどんなインパクトをもたらしていると思いますか。

秋元:それは大きすぎて回答できませんね。というか、実は僕は皆さんが思う以上に、何も考えていません。僕がやっているのは勘に頼った一本釣りみたいなものです。それを学者や記者の方が学術的に説明したり分析したりしてくれるんですが、僕自身は狙って行動しているわけではないんです。

 昨日も、これからのパッケージビジネスはどうなると思いますかと聞かれました。でも正直僕は全く分からない。さも専門家のように聞いてくるけれど、分からないんですよ。

 ただ経済に絡めて1つ言えるのは、先ほども申し上げたとおりハードからソフト目線に移行すべき、と言うことですね。

 VRやスマホのアプリで何か作って欲しいと言われることが多いのですが、そういう話を聞くたびに、なんだか「容器のことを先に言っている」と感じます。料理を作るときに、何を作るのか、ではなく、何に盛り付けるかを重要視しているのです。僕たちが作らなければならないのは、決して皿に合わせた料理ではありません。おいしい料理を作らなくてはならないのに、あまりにも皿側に目が行ってしまっているなと感じています。今後日本がクールジャパンとして海外市場に打って出ていく際に、日本企業が持つこの視線をもっと変えなければならないと思っています。