人口減少にはメリットもある

佐伯:どことは言わないが、移民が数多く入居している集合住宅では様々な問題が起こっていて、周辺住民の苦情が絶えない状況だ。具体的には、ゴミの分別をやらなかったり、夜中に大勢で騒いでうるさかったり。3階からモノを捨てて困る、なんていうクレームもあると聞いている。

シンフォニアテクノロジー(旧神鋼電機)の元社長、佐伯弘文氏
シンフォニアテクノロジー(旧神鋼電機)の元社長、佐伯弘文氏

 こういう行為は、ルールを守るのが当たり前の文化である日本人からすると理解できないものばかりだ。日本が独特な文化圏にあるということも含め、この国は移民政策に対して特に慎重であるべきだと思う。うまく日本人と移民が融合するとは、とても思えない。

とはいえ、日本の人口は足元で減少しており、今後も減少が続くことが予想されています。日本人の出生率を上げる施策も重要ですが、移民の受け入れも人口問題の解決策の一つとして考えるべきなのではないですか。

佐伯:人口減少を過度に恐れる必要はない。労働力不足や国内市場規模の縮小などデメリットばかりが強調されているが、人口減少にはメリットもあるだろう。

 例えば、今の日本は人口密度が高く、多額のローンを組んでも狭くて小さな家にしか住めない。予算の問題で会社から遠い場所にしか家を買えなかった人は、通勤時間が1時間半とか2時間とか、やたらと長い人も少なくない。

 マンションがどんどんできているエリアの地下鉄の駅では、朝晩の通勤時間帯に、入り口や階段が混雑しすぎて駅になかなか入れないという、おかしな現象も起こっている。これらは、人口が多すぎる弊害だよ。こんな生活しか送れないほど混雑しているというのは、本来はおかしいんだ。

 人口が適度に減ることで、こうした住環境やインフラの問題が改善されて、豊かでゆとりのある社会になる可能性もある。実際に、デンマークやノルウェーなど北欧の国々は、日本よりずっと人口が少ないのに、豊かな生活が成り立っているじゃないか。