待遇は日本人とほぼ同じ
そこで活路を見出したのがミャンマーだ。豊橋設計はもともと、ミャンマーに現地法人を持っていた。日本で受注した業務の一部を、現地で採用、教育したエンジニアに任せている。いわゆる「オフショア開発」の拠点だ。現地には日本から派遣したマネジャーはいない。本社とミャンマー法人をインターネット回線で接続し、音声と映像で常にコミュニケーションを取りながら仕事ができる体制を構築している。

昨年から、そのミャンマー法人で採用した人材に、日本で働いてもらうことを始めた。ミャッ・ミャッ・モーさんは1期生2人のうちの1人だ。製鉄機械のような大型の案件になると、複数のエンジニアがチームとなってプロジェクトを進めるため、チーム内での密なコミュニケーションが必要となる。遠隔操作ではなく、日本に常駐してもらった方が効率的であると判断した。
内山社長は「現地法人を設立したのも、いずれ日本で働いてもらえる人材を採用し、育てるという目的があった」と話す。ミャンマーでは、大学卒業後にすぐに企業に就職することは当たり前ではない。そのため、2人程度の募集枠に対し、50人以上は応募があるという。面接時には必ず「日本で働けますか」と聞いている。遠く離れた日本で働く可能性があることを条件にしても、意欲があり、現地トップクラスの理工系大学を卒業した人材を採用できる環境にある。日本語を教育する時間は必要になるが、技術習得のスピードやモチベーションの高さなどを考えれば、将来的には貴重な戦力になってもらえると判断した。
決して「安さ」を求めているわけではない。待遇は日本人社員とほぼ同じだ。ミャンマーでは2万円前後だった月給が、日本への転勤後はほかの社員の初任給と同じ約20万円になり、一気に10倍に跳ね上がる。自宅が遠い社員と同じように、社宅も用意している。待遇や働き方は職場のほかの社員と変わらない。
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