第1回目は日本の最北端、第2回目は最東端についてそれぞれ紹介した。第3回目は日本の最西端について紹介したい。
日本の最西端は、沖縄県の八重山列島の西端に位置し、本来の日本最西端と、一般人が行くことの出来る日本最西端とが唯一、一致している場所である。その場所とは、沖縄県にある与那国島(よなぐにじま)で、島の西端(沖縄県八重山郡与那国町)にある「西崎」が日本の最西端となる。ここでは「にしざき」ではなく、「いりざき」と呼ぶ。
沖縄地方の方言で、「西」は「いり」と呼ばれている。「西表島」を「いりおもてじま」と呼んでいるのは有名である。反対に「東」は「あがり」と呼ぶ。与那国島にも「西崎」の反対側に「東崎」が存在するが、やはり「あがりざき」と呼ばれている。現在のところこの呼び方は、「日の出=あがり=東」、「日の入り=いり=西」からきているという説が有力である。
さてこの「西崎」は、国土交通省国土地理院の「日本の東西南北端点の経度緯度」によると、東経122°56′01″、北緯24°26′58″に位置する。日本で一番遅く夕陽を見られる場所でもある。今回はこの「西崎」へ、夏到来直前の4月に訪れてみたので、ご紹介したい。
与那国島への道
与那国島へは主に石垣島が玄関口となる。そこから飛行機かフェリーでのアクセスとなる。飛行機を利用する場合は、沖縄本島からも直接アクセスできる。
メインは飛行機での渡航となり、南ぬ島(ぱいぬしま)石垣空港から与那国空港までは1日3便、所要約35分、那覇空港から与那国空港までは1日1便、所要約1時間30分で、琉球エアーコミューターが運航している。

フェリーの場合、「フェリーよなくに」が週4便(2往復)、福山海運が運航している。石垣港発が毎週火・金曜日の10:00発、与那国島・久部良(くぶら)港発が、毎週水・土曜日の10:00発で、所要は約4時間となる。出発時間の30分前までの乗船が必要。この与那国航路、潮流が激しい海域を通るため揺れが大きく、船に慣れていない人の間では「酔う船」としても有名である。なお、フェリーよなくにのドック(検査)期間中は、代船による運航となるため、その期間は更に所要時間が多くかかる。最新情報等、詳細は各社ホームページ等を参照してほしい(上記は共に2016年4月時点の情報)。

与那国島について
与那国島は周囲27.49km、面積28.95平方kmの島で、台湾より約111km、石垣島より約127kmに位置している。八重山列島の他の島とは異なり、黒潮が直接、島の周辺を流れる外海の中の孤島で、断崖絶壁に波が打ち付ける荒々しい景観が特徴の島である。
かつては「渡難(どなん・どぅなん)」と呼ばれるほど、渡る事が難しい島であった。「どなん(どぅなん)」という名は現在、数種類ある地元泡盛の銘柄の一つとしても有名である。また石垣島より、台湾のほうが距離的に近く、年に数回ほどではあるが、台湾を望む事ができ、国境を感じさせる島でもある。
島内には主に3カ所の集落があり、空港から一番近く、北部に位置する島の中心の祖納(そない)地区、島の西部でフェリー発着の港がある久部良(くぶら)地区、島の南部に位置する比川(ひがわ)地区に分かれる。いずれの地区も、民宿等の宿泊施設が存在する。
島内は意外と起伏が激しく、自転車での周遊はかなりの健脚向けとなる。メインはレンタカー、レンタルバイク、観光タクシー等での周遊となる。路線バスは祖納~久部良間の往復、祖納~久部良~比川~祖納間の循環と、島の西側部分のみの運行で、祖納周辺や西崎、比川周辺を訪れる際には観光客も無料で利用できるが、東崎や立神岩等、島東部方面の観光には不向きとなる。また1日7便のため、時刻等にも注意が必要となる。
島内に都市銀行や地方銀行のATMは存在せず、ゆうちょ銀行のATMが与那国郵便局(祖内)と久部良簡易郵便局(久部良)に、JAおきなわのATMが与那国支店(祖内)に存在する(上記は共に2016年4月時点の情報)。
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