冬の宗谷岬へ

 バス停に着いて間もなく「浜頓別高校」行のバスに乗り込む。かつて訪れた際には「大岬」行のバスを利用した記憶があったが、ホームページで調べると「鬼志別ターミナル」行、「浜頓別高校」行、「音威子府」行の都市間バス路線に変更された様子である。

 乗り換えて間もなく、「潮見5丁目」という停留所に着いた。ここで一人旅風の女性が乗り込んだ。先ほど空港からのバスで、南稚内駅前よりも手前の停留所で降りた乗客であった。実はこの乗客、空港でバス運転手に何かを聞いていた。筆者もこの乗客の後に、乗り継ぎ場所を聞こうと思っていたが、時間が遅れていた関係で直ぐに発車、運転中に声をかける訳にもいかず聞きそびれていた。そのため印象に残っていたのだが、運転手にこの停留所での乗り継ぎを教わったのであろう。「潮見5丁目」は、片側のみではあるが、ちょっとしたプレハブ小屋のような印象のバス定期券売場と待合所が併設されているため、最適な乗り換え場所である。特に冬場には寒さを凌げるありがたい存在である。時間がない時は特に、最初から運転手等に話を聞く事が大事だと痛感させられる。

 バスは先ほど来た道を戻るように、宗谷湾沿いの国道238号を進む。途中からバスの乗客は、観光客と思しき外国人1組と日本人2組、一人旅風の女性1人と著者の8人となる。窓の外へ目をやると宗谷湾は白波立ち、北風が容赦なく吹き付け、空もどんよりとした印象で、いやでも北国を意識させられる。国道を約45分走り、定刻の14時10分に目的地の宗谷岬バス停へ到着。乗客もほとんどここで降りた。本日の宗谷岬周辺は、風は強いものの、雪は止んでいため、想像していたよりも寒くはない。しかしやはり冬である。日没は早く、既に薄暗い感じだ。

宗谷岬バス停。ここは日本最北端のバス停となる。最北端の信号も見える
宗谷岬バス停をバスが去った後に逆側から。奥のほうに、日本最北端のガソリンスタンドが見える。お察しのとおり、この付近の施設はすべて日本最北端となる

 稚内駅方面の折り返しのバスは15時01分発と、約50分の滞在となる。そのバスを逃すと次は17時46分発で約3時間30分の滞在となるが、冬場は周辺の施設も閉鎖中で、時間をつぶせる場所が極めて少ない。その上日没時刻は15時54分頃と、夏場のように「景色をのんびりと眺めながら過ごす」という選択肢はすぐに消えた。

 バス停(国道238号上)から岬へは、目と鼻の先ほどで「岬」とはいうものの、ここ宗谷岬は断崖絶壁に位置する訳ではなく、平地でオホーツク海の水面にも近い。国道上の標識が無ければ、知らずに通り過ぎてしまう感覚だ。バスが到着した直後は、記念撮影等で混み合うため、最初に灯台のある丘の上を目指す。宗谷丘陵を少し歩いてみることにする。

宗谷丘陵へ

 高台には宗谷岬平和公園がある。日露戦争時代の旧海軍望楼があるが、冬季のためか閉鎖されていた。そこから続く丘陵の道を少したどり、風車が付いた建物が目に入る。そこを目指し歩く。

宗谷丘陵へと続く道。国道から急な斜面を登り、さらに進むとゆるやかな丘が見えてくる

 風車の建物は土産物店やゲストハウスであったが、こちらも冬季閉鎖中で、全く人の気配がない。その先の道は荒涼とした北国の冬の風景が広がっている。さらに進むと最北端の牧場もあり、「稚内フットパス」の「宗谷丘陵コース」(約11km・4時間)という絶景の丘陵をめぐるウォーキングコースも存在するが、利用可能期間は5月~10月頃(稚内フットパスホームページより)と、冬場は道路の閉鎖区間があるため利用できない。

宗谷丘陵

 ほどなく宗谷岬灯台方面へ戻ることにする。歩いているためか、風があってもそれほど寒く感じない。戻る途中で見た、雄大なオホーツク海の風景も印象に残った。

宗谷丘陵からの風景