ここ数年、巨額のM&A(合併・買収)を繰り返してきた損害保険業界。数千億円という金額の大きさばかりに注目が集まるが、買収後の取り組みにはあまり光が当たらなかった。急速にグローバル化を進める「ザ・ソンポ」は何を目指すのか。複数の視点から、その実像を探る。

 第1回は、SOMPOホールディングスが約63億ドル(約6900億円、1ドル=110円換算)を投じて買収した、米エンデュランス・スペシャルティ・ホールディングスに注目する。同社のジョン・シャーマンCEO(最高経営責任者)は若くして保険業界に飛び込み、「ロンドン保険市場の王」として業界にその名を知られた名物経営者だ。SOMPOの櫻田謙悟グループCEOはエンデュランスとそれを率いるシャーマン氏を「ダイヤモンド」と評する。

 国内損保業界が最も注目している経営者の一人、“ダイヤモンド” シャーマン氏。そして、そのパートナーとして海外戦略を担うSOMPOのナイジェル・フラッド常務という、ほとんどメディアに出ないキーパーソン2人の肉声をお届けする。

ジョン・シャーマン氏(写真:北山 宏一)

SOMPOの買収提案を受け入れた理由と、傘下入りした感想は。

ジョン・シャーマン氏(以下、シャーマン):1981年から仕事で日本に来ていますが、SOMPOホールディングスとは合併前で今と名前が違う頃から、ずっと仕事上のパートナーでした。我々の会社は売りに出していたわけではありません。しかし、SOMPOのメンバーになれば、単独で経営するよりも良い将来を描けると考えました。

フラッド氏「離婚はしません(笑)」

 例えるなら、35年の婚約期間があって、このたび結婚したという感じでしょうか(笑)。お互いを良く知っていますし、こうして家族になるのは不思議なことではありません。

ナイジェル・フラッド氏(以下、フラッド):離婚はしませんので、ご心配なく(笑)

シャーマン:我々はこれから、とてもユニークなグループになります。日本企業が海外企業を買収した際、多くの場合、最初から完全に統合した形にはなりません。時間をかけて統合していきますね。そこを乗り越えて、我々は初日から「SOMPOインターナショナル」として活動していきます。

今後、特に注力していく分野はどこでしょうか。

シャーマン:一般的な保険分野は利幅が小さいため、スペシャルティ(対象を絞った専門性の高い保険)分野を伸ばしていきたいですね。例えば農業保険。SOMPOホールディングスが保有している各国の保険認可を生かし、エンデュランスの商品を展開していきたいと考えています。エンデュランスは米国の農業保険で5位ですが、フランスや中国などにも広げていきたいです。