SNSでの「過激発言」が大騒ぎに

 日本で初めてスマートフォンが発売されて、来年で10年になる。
 発売当初は若者を中心に普及したこともあり、ミドル世代の多くは敬遠していた。街なかのあちらこちらで釘付けになっている姿を見て、違和感を覚えた人もいたのではないだろうか。

 ところが、今は違う。電車に乗れば、みんながスマートフォンを見ている。そして、「中毒」のようになるのは年齢を問わないようだ。
 むしろ、ミドル世代ほど「危ういハマり方」をする人が多いように感じる。
 今週は、そんな「ミドルとスマホ」の付き合い方について、あらためて考えてみたいと思う。

 Tさんは、ある時期SNSにどっぷりつかっていた。実名が基本だったので、無難なことしか書いていなかったのだが、ある時同じ大学の卒業生ばかりの「グループ」というのを知ったことで、すっかりはまった。

 同窓生ばかりなので、気心が知れているし、会ったことがない人でもすぐに打ち解けられる。どこで誰と誰が飲んだとか他愛ない話はもちろんだが、今の職場の愚痴などを遠慮なく書く人もいる。

 「こんなことを書いて大丈夫かな」とTさんは思っていたが、ちょっとくらい刺激的なテーマの方が盛り上がる。そして、スマートフォンはパソコンと違って、思いついた時にどこでも見られるし、書き込める。
 Tさんがよく見るのは、会社帰りの電車の中だった。特に、酒を飲んだ後などは、ちょっと「過激な」ことを書くこともある。その方が、皆が反応するので乗ってしまうのだ。
 そして、Tさんが失敗したのは、とある国政選挙の時のことだった。

 いつものように、SNS上で盛り上がる中、とある政党の悪口を書いて、それが思いの外に受けたのだ。みんなが同じように思っている――そう思い込んだTさんは、ついつい図に乗った。

 ところが、この「グループ」では見ているだけの人も結構多い。そして、Tさんの勤務先の重要な得意先の幹部の目に入ってしまった。
 その企業は、「悪口を書かれた政党」ときわめて密接な関係にあった。「何だあいつは」ということになり、Tさんの勤務先の幹部にクレームが入ったのだ。

ネットで置き去りにされてしまった上司

 「いい歳になって、何をやってるんだ」
 あきれ顔の上司に、なじられるように言われたTさんだったが、幸いにして社内処分などの「お咎め」には至らなかった。
 ただし、日ごろからお調子者と見られがちだったTさんだけに、この一件は、評価を下げる結果につながったようだ。

 Tさんのように、プライベートでスマートフォンにハマる人もいれば。仕事でスマートフォンに縛られるうちに、大事なことを見失った人もいる。

 Wさんは、大手のIT企業から新興のウェブサービスの会社に転職した。その企業の技術は優れているものの、管理職経験のある人がいないので、声がかかったのだ。
 新しい職場は、前職に比べて何事も合理的で、会社から支給されるスマートフォンもある。そして何より驚いたのは、仕事のスピード感の違いだった。