「自分の昔を語ること自体が、よくないのかな」

 若い世代が、50代前半であるLさんやRさんの世代を見る目はさまざまだ。

 だが、「バブルを知っている」世代として、何かと色眼鏡で見られるような気がするのは確かだ。さまざまな場面で、バブル期を境に、大きな溝があるんだろうと感じる。

 先のJさんのように「先輩たちみたいにハードに働かなきゃ成長できないのかもしれない。けど、私には無理」と思う人もいる。一方で、「先輩たちが若かった頃みたいに、自分もたくさん働きたい」と言う人もいる。このほか、「若い時分にそんなに頑張れる気持ちになれたのは羨ましいです。自分はそこまでの気持ちになれない」という若手の声も、しばしば聞く。

「自分の昔を語ること自体が、よくないのかな……」

「いや、それはさすがに変だろう。そういう話をしながら、会社の伝統はできていくんだし、気持ちをリレーしていくような感じって大切じゃないか」

「でもさあ、いま思い出したんだけど、テレビの討論番組で若いやつが言ってたんだよね。『結局生まれる時代は選べないんですよ』って。その気持ちを上の世代はわかっているんですか?って」

「オレたちが若い時分に頑張れたのは、将来は明るいって無邪気に信じられたからかもしれないな。給料は必ず上がる、明日は今日より必ず豊かになる……って」

「今は、オレたちでさえ先々が不安だよな。となれば、若い連中なんか、もっと不安なんだろうな。高い成長が望めない時代だし、一つの会社でがむしゃらに働く方がいいのか、会社にこだわらず自分のスタイルで働く方がいいのか、って考えても正解なんてないわけだから」

 結論が見えないこんな会話を交わしながら、LさんもRさんも、段々と言葉数が少なくなっていった。