やがて異動になったC君は、それから程なくして別の会社に移っていった。

 Sさんは、その後も順調にキャリアを重ねている。C君もまた活躍の場を見つけたようで、メディアを通じてその様子を伝え聞くこともある。そのたびに、Sさんは少しホッとする。そして、今までにもまして社内では「どんな人とも丁寧に接してくれる上司」として慕われているという。

今週の棚卸し

 人の心の動きには、理屈では割り切れない情念のようなものがある。それは恋愛のような場合ならごく当たり前のように思えるが、仕事にもそうした感情が影響してくることも多い。

 人と人との間には、「好き/嫌い」を始めとして、畏怖や侮蔑、あるいは尊敬や親愛などさまざまな感情があり、それはビジネスの場でも当然見られることだ。しかし、仕事を適切に進めていくためには、人の感情をマネジメントすることも求められる。

 今回のように「嫉妬」という感情はある意味で、もっとも屈折した心の働きと言えるだろう。しかし、時には仕事の場面でも大きな波紋を広げることさえあるのだ。

ちょっとしたお薦め

 小説や戯曲などのフィクションでは、「嫉妬」はよく取り上げられるテーマだ。では、実際の歴史において「嫉妬」という感情はどのような影響を与えたのだろうか?そうした視点から分析された一冊が山内昌之氏の「嫉妬の世界史」(新潮新書)だ。

 ここに出てくる人物は、ほとんどが男性である。そして、その感情がまた歴史を揺らしてきたことがよくわかる。アレクサンドロス、毛沢東、森鴎外など古今東西の著名人の生き方を「嫉妬」という切り口で見事に描いた一冊だ。