ところが、意外なところで彼に逆風が吹いた。きっかけは「夏季休暇制度の変更」だったのだ。

「休めない上司」というマイナス評価

 かつて「メーカーのグループ会社」という位置づけの時の夏季休暇は、いわゆる「お盆休み」の一斉休業だった。親会社に合わせていたのである。

 しかし、経営主体が変わり取引先も増加すると、この方式の問題が目立ってきた。さまざまな業種の動きに合わせて、ビジネスを組み立てるためには、休暇制度も柔軟な方がいい。

 そこで一斉休暇に代わって、「フリー長期休暇」という制度が導入された。

 時期も長さも自由で、あらかじめ申請すればよい。基本は一週間だが、もっと長い人もいるし、お盆などのピークを避けることもできる。

 若い人を中心に好評ではあったものの、古くからの社員はいままでの習慣でお盆の頃に休むものも多かった。

 Wさんは、この制度が苦手だった。自分の休みはともかく、部下がバラバラと休むと、担当しているプロジェクトのことがやたらと気になるのだ。

 進捗をチームで共有して、いざという時には連絡できるようにする。それを徹底することは誰でもやった。とはいえ、それ程緊急のことは滅多に起きない。しかしWさんは心配症だ。

 取引先から問い合わせがあっても、「休みを頂いてます」と言えない。ついつい「連絡させます」と対応してしまう。

 休暇中の部下のスマートフォンにやたらと連絡するから、休んでいる方も落ち着かなくなる。最初は「まあ仕方ないか」と思っていた部下も、段々と苛立つようになってきた。

 ある時は海外まで追いかけれらた部下が慌てて連絡したところ、料金システムを勘違いして莫大な通信費を請求されたこともあった。

 こうなると、さすがに不満が溜まってくる。