会社を揺るがした大事件

 会社に長いこと勤めていると、それなりの「事件」に出くわす。Iさんの場合、一番の大事件は社内のパワーゲームに関わることだった。もう、数年前のことになる。

 勤めている企業は、建材をあつかう大手企業で、主な取引先はゼネコンだった。典型的な男社会の中で、Iさんは入社以来ずっと営業畑である。

 課長になった40代前半の頃、営業本部長にK常務が就任した。交渉力もしっかりしており、面倒見も良い。まあ、順当な人事だと多くの人は思った。

 ただし、ビジネススタイルは結構古典的だ。人間関係がモノを言う仕事なので、接待などの交際も重要になる。その辺りについて、ちょっとやり過ぎているのではないか?という声が一部にあったことも事実である。

 とはいえ、当時の業績は比較的上向きだったこともあり、K常務をみんなで盛り上げようという動きになっていた。社内のゴルフコンペも復活して、「K杯」と名付けられた。

 もちろん課長以上は、ほとんどが参加する。ゴルフ以外にも、いろいろなつき合い事が増えていき、夜はもちろん土日も結構忙しい。

 Iさんは、それほど滅私奉公の気質ではない。できれば、自分の時間を持ちたいと思うのだが、それを言える雰囲気でもない。

 「だって、みんな来るんだよ」と言われて、まあ仕方ないかと参加する。それが、習わしとなっていた。

 そんな日々が続いたある時、「事件」は起きたのだ。